鉄鋼原料専門商社の共栄(本社=神戸市、三浦義篤社長)は、水島工場(岡山県倉敷市)で進めていた大型ギロチンシャーのリプレース工事を完了し、このほど本稼働を開始した。水島工場では6月にプレス機の入れ替えを実施。設備老朽化に加えて、高炉メーカーで発生する各種スクラップの加工に対応するために、主要設備を一新した。
水島工場は68年に、高炉メーカーや重工業が集中する水島工業地帯で発生するスクラップを取り扱うために開設した。鉄スクラップ加工処理・販売以外にも高炉メーカー発生品の転炉滓を破砕・磁選して再生する荒銑事業、厚板溶断加工事業も展開する。鉄スクラップ取扱数量は月間約2万トン(代納含む)。
新たに導入した加工設備は、富士車両製1250トンギロチンシャー(270キロワット・360馬力)。入れ替え前は1600トン(450キロワット・600馬力)や同じ1250トン標準機に比べて、省エネルギー・省電力型の設備を採用。環境負荷低減やランニングコストの削減を図る。
プレス機については設備更新後、フル稼働が続いており、高炉メーカーや自動車メーカーから発生する新断スクラップなどを加工。処理能力は月間800トンから約1000トンまで拡大している。
主要加工設備の更新工事が完了し、同工場では「鉄スクラップ事業、荒銑事業、鋼材事業のそれぞれが柱になるとともに、事業の高付加価値化を進めていきたい」(山ア源司取締役水島営業所所長)という。
共栄は1927年創業、41年に設立した鉄スクラップ加工処理・販売専門商社の大手。関東から九州を営業エリアとし、国内メーカー各社に鉄スクラップを供給するほか、東アジア向けの輸出業務も手掛ける。年間販売数量は160万トンで、売上高は約593億円(ともに11年12月期)。