JFEスチールは現在休止している東日本製鉄所(京浜地区)のシャフト炉を10月に再稼働させる。関係筋によると、輸出向けを中心に鋼材の出荷が上向いているなか、稼働する7基の高炉だけでは銑鉄の生産に限界があるため、鉄スクラップを原料に銑鉄を生産するシャフト炉を稼働させるようだ。
JFEは世界同時不況の影響による鉄鋼需要の減退を受け昨秋から大幅減産に入り、西日本製鉄所の福山・倉敷両地区でそれぞれ高炉を1基休止した。
しかし足元では輸出環境が好転したことに加え、国内では自動車など一部製造業向けの需要が回復している。経済産業省によると、本年度第2四半期(7―9月)の全国粗鋼生産量は前期比20%増の2300万トン前後に回復する見通し。
鉄鋼需要が復調しつつあるなか、JFEは第2四半期の粗鋼生産量を前期(4―6月)比27%増の約650万トンに戻す考え。
第3四半期(10―12月)についても、国内外の鉄鋼需要は回復基調を保つ見通しで、高炉2基を休止する現体制では溶銑ネックが生じる可能性がある。このため、現在休止中のシャフト炉を再稼働させるものとみられる。
シャフト炉は炉内で鉄スクラップを溶解して銑鉄を生産する設備で、JFEは製鉄所内から発生するCO2削減を目的に昨年導入した。年産能力は50万トンで国内最大規模。2008年8月に稼働させたが、その後、大幅減産に入ったため操業を休止していた。
鉄スクラップを有効活用するシャフト炉が再稼働すれば、スクラップの市中発生が落ち込んでいる時だけに同需給がタイト化し、市況に影響を与えることも考えられる。