JFEスチール東日本製鉄所・京浜地区は、国内最大の4500馬力、年間処理能力40万トンのシュレッダー設備を年内にも稼働させ、8月に操業を開始したシャフト炉と併せて鉄スクラップのリサイクル推進体制を整える。「CO2排出量削減と鉄スクラップの有効利用が狙い」(狩野久宣所長・専務執行役員)で、来年以降、両設備の機能をフルに活用する考えだ。
シュレッダーは京浜地区の製鋼工場隣接地に建設され、すでに試運転を開始している。2009年1月の稼働開始を計画していたが、鉄スクラップ需給が緩み、相場が下落するなど外部調達しやすい環境にあることなどを考慮、計画を前倒しして月内にも稼働させる。
ダストや非鉄など不純物を選別してスクラップの品質を高める設備で、シャフト炉に投入する鉄スクラップの前処理設備として主に使用し、転炉に投入するスクラップ処理にも活用する。
京浜地区の高炉隣接地に建設したシャフト炉は年間処理能力50万トンの国内最大規模プラント。排ガス回収による省エネ促進技術など最新プロセスを導入し、高炉法に比べてトータルのCO2排出量を半減できる。
鉄スクラップとコークスを合わせて炉に装入、羽口から熱風や酸素を吹き込み、コークスを熱源にスクラップを溶解して銑鉄を生産する。
製鋼工程で高炉銑と同様に鉄源として活用できるため、需要好調時は高炉、シャフト炉をフル出銑させることで上方弾力性を確保。需要低迷時はシャフト炉をフル稼働させて高炉出銑比を下げることでCO2排出削減効果を追求できる。
東日本の07年度粗鋼生産量は887万トン、うち京浜地区は457万トン。08年度上期はフル生産を継続したが、下期は需要減を受け生産調整に入っている。