三井物産メタルズ(本社=東京都中央区)は今年12月末をめどに、堺事業所(堺市)で行う自動車リサイクル事業から撤退する。エコカー減税による買い替え需要の増加などで廃車の入荷台数は増加傾向にあるが、同社では車の長寿命化や若者の車離れなど、将来的に発生台数の安定や収益拡大にはつながらないと判断した。空港などで使用される一部特殊車両の解体は継続する方針。今後、堺事業所は昨年11月に竣工した大型自社岸壁をメーンとした国内外の海上出荷拠点として、鉄・ステンレス・非鉄スクラップの扱いに特化し、取扱量の拡大をめざす。
自動車解体事業は西日本商事(1984年に三井物産が100%子会社化)が1970年に堺事業所を開設し、同年より開始。93年に独・BMW社と廃車リサイクルの業務提携を結び、ピーク時には月間2000台、年間1万8000台の廃車処理を行っていた。
約40年間にわたって廃自動車リサイクルを推進してきたが、ここ数年は中古車輸出・オークション市場の拡大、自動車販売台数の落ち込みによる国内発生台数が大幅に減少し、昨秋には堺事業所の自動車処理台数が一時200―300台まで低迷。エコカー減税などによる買い替え増で月間800台前後まで回復したが、同事業の撤退に踏み切り、金属スクラップの加工処理・販売に特化することとなった。
堺事業所では昨年に自社岸壁を75メートルに拡張したほか、来年には加工処理設備のリプレースも行うなど大型投資を進めている。