大阪の鉄スクラップ市況は、指標品のＨ２価格がトン４万円を目前にとらえた。海外市況が調整局面を迎えたことで様子見状態となっていたが、連休を前に炉前在庫の確保を急ぐメーカーが鉄スクラップの手当てを進めていることが要因。地区内電炉買値は、年初比７５００円（24％）高のＨ２トン当たり３万８５００―３万９５００円前後に上昇している。

　建築用鉄筋を中心としたおう盛な製品需要を背景に、電炉各社は高水準の生産を続けている。さらに海外からの鉄スクラップ需要が高まったため、各地区の電炉買値や輸出価格が高騰。地方から入荷率が高い大阪だが、他地区からの入荷が減少。メーカー各社は使用量確保で手一杯となり、大型連休を前にしても炉前在庫の積み増しが進まなかった。

　電炉の大半は個別対応やスポット購入、関東からの『西送り』で鉄スクラップの確保するなど、これ以上地場のベース価格を引き上げることに強い抵抗感を示しているが、今月23日から大阪金属リサイクル工業協同組合が成約した５０００トンの船積みを控える。「船積みへ向けてヘビースクラップはさらにタイト化する」（ヤード筋）との声も多く、鉄スクラップの確保を急ぐメーカーも出始めた。

　このため、４月初めには値ごろ感が台頭していたものの、地区内では再び実勢買値を引き上げる動きが散見し、13日からは岸和田製鋼が先月23日以来となるの値上げ（一律トン５００円）を実施。足止め状態が続いていた地区内電炉買値は、Ｈ２ベースでトン４万円を視野に入れた。

　ただ、電気料金の安い連休中に電炉生産が集中する見通しだが、５月の生産予定は連休中にある程度消化すると見られ、連休明けもフル生産を続けるメーカーは一部に限られる。

　各社とも休み明けには鉄スクラップの手当てを緩める可能性もあり、市中でも「今回の一連の値上げ、もしくはもう一段の値上げで一旦ピークを迎えるのでは」（ヤード筋）との声も聞かれる。