三井物産はより強固な財務基盤を背景に、金属資源分野で積極的に優良金属資源の権益拡大とスクラップ・リサイクル事業展開を図る。資源投資は、昨年度は既存事業拡張を中心に実行してきたが、不透明な市場環境もあり、「総じて慎重だった」(阿部謙副社長)。本年度は全社ベース7000億円のうち資源・エネルギーで2400億円の投資を見込んでいる。資源国の状況等のリスクをにらみながらも、既存事業の拡張投資に加えて、新規の優良資源権益獲得を「積極的に推進し」(同)、案件次第では2400億円にはこだわらない構え。とくに鉄鉱石、銅、ニッケル、マンガン・クロムなどの合金鉄、レアメタルに注力する考えだ。
鉄鉱石とニッケルは、鉄鉱石での大手3社との合弁事業とニッケルでのニューカレドニア・ゴロ事業とフィリピンのコーラルベイ事業が引き続き軸となる。それ以外でも新規案件獲得の機会も探っており、銅はチリ・カセロネスに加え、さらなる権益確保をめざす。スクラップ・リサイクル事業は大きなポテンシャルのあるアジアでの事業を積極的に推進・構築していく方針だ。
金属資源本部の2009年度の連結純利益は、鉄鉱石等資源価格の下落と数量の落ち込みが響き、前年度比22・4%減の629億円となった。事業環境は09年1―3月を底に右肩上りの回復をしており、今年度は1400億円を計画しているが、資源価格次第では上振れの可能性もある。
11年度の連結純利益は、07年度の最高益だった1770億円には届かないものの、1560億円を見込んでいる。既存事業の拡張や新規案件参画を実現することで、収益基盤を拡充する。3―5年後にめざしている全社で5000億円の連結純利益実現段階では、これまでの金属資源の収益貢献だった全社の4割以上に相当する収益基盤の確立をもくろむ。