国内鉄スクラップ価格がトン6万円時代を迎えた。高炉メーカー各社の購入量が拡大するなか、海外需要も旺盛で国内需給はひっ迫。鉄鉱石や原料炭などの鉄鋼資源と同様に、鉄スクラップ市況も東京で年初比1万6750円(42%・H2中心値)高、大阪同1万8250円(44%・同)高の大幅上昇となっている。大阪ではすでにH2が高値トン6万円に到達しており、各地区市況にも波及しそうだ。
大阪地区電炉メーカーの購入価格は、前週比約1500円(3%)高のH2トン5万9000―6万円前後。地区内では先週11日入荷分から、トン1000―2000円方の実勢値上げが広がっている。
電炉各社は電力料金の安い4月末からの連休期間中の集中操業へ向けて、炉前在庫の確保を急ピッチで進めている。3月中からスポット購入などで手当てする動きもあったが、通常入荷が伸びず、ベース価格の値上げを迫られていた。
上昇基調が続いていることで、「扱い数量を確保するために仕入れ価格の先行値上げが広がっており、これがメーカーへの出荷が進まない要因の一つ」(商社)との声も聞かれる。
高炉各社の鉄スクラップ購入増の影響も広がっている。「溶銑コストの上昇もあり、これまで以上にスクラップを使用するメリットが大きいはず」(ヤード筋)。今後も需給への影響が広がりそうだ。
連休前後までは市況は堅調推移すると見方が大半だが、各地区湾岸や地方ヤードには大量に在庫が滞留。「メーカーへの出荷が一気に進めば、市況に大ダメージを与える」(商社)可能性もある。