大阪のＳＵＳ３０４系（18クロム―８ニッケル）ステンレススクラップ市況が半年ぶりに上昇した。中国向け輸出が一部で再開し、国内市況を上回る価格で成約が進んだことなどが影響。乱高下していたＬＭＥのニッケル相場が９月19日以降、３万ドル台で推移していることも市況の回復につながった。国内最大手の新日鉄住金ステンレス（ＮＳＳＣ）が10月からの購入価格をトン３万円引き上げたほか、日新製鋼、日金工も値上げに踏み切っている。

　 国内ミルの減産やＳＵＳ３０４系製品市況は先安観が強まっていることで、スクラップの発生量が落ち込んでいる。同地区では扱い数量を確保するため、スクラップ販売業者が国内ミルに先行して値上げする動きもあった。

　 「市中に滞留していた在庫は流通に出きった。入荷量も落ちており、足元の流通に荷余り感はない」（地区流通大手）との見方もあるが、国内ミル各社は10月も減産を継続する見通しで、国内ミル各社のスクラップ消費が遅れるなど弱気材料も残る。

　 今回の値上げに関しては、「炉前在庫はまだ潤沢で、ミル各社とも想定外だったのでは」（商社）との見方もあり、本格的なスクラップ市況の回復には時間がかかりそうだ。

　 ＳＵＳ３０４系（18クロム―８ニッケル）ステンレススクラップ市況は３月中旬から４月にかけて過去最高値を記録したが、ＬＭＥ相場の急落などにより、７月中旬までにピーク比26万円方下落していた。