高炉大手が市中鉄スクラップの購入を再開する。JFEスチールは、6月から西日本製鉄所(倉敷地区)で購入を開始。国内流通によると、JFEは東日本製鉄所でも検討段階に入っており、新日本製鉄では7月以降の市中鉄スクラップ調達再開に向けて検討中という。鉄鋼需要は今夏以降の回復予測も立っているが、「今の段階で現在休止中の高炉を再稼働させるにはリスクが大きい」(商社)。このため、高炉各社は転炉での鉄スクラップ使用を増やすことで生産量を調整し、増産リスクを回避するのが狙いとみられる。
国内高炉は昨年ピーク時に月間45―50万トン、年間で約500万トンの鉄スクラップを購入しており、転炉鋼の鉄スクラップ配合比は昨年7―9月に14・8%を記録するなど高水準で推移していた。
年明けからは、大幅減産の影響が拡大。ひも付きの工場発生スクラップなど一部を除き、「外部からの鉄スクラップ調達はほぼゼロに等しい」(ヤード筋)状況が続いていたが、転炉鋼の鉄スクラップ配合比は今年1月の9・5%を底に3月には11%台まで回復した。
鉄スクラップ使用増による生産調整に加えて、H2価格が2万1000―2万2000円前後、新断やHSグレードの上級品種がトン2万3000―2万4000円前後にとどまっていることも大きい。「09年度の鉄鉱石の下げ幅などから溶銑価格は3万3000―3万5000円前後になると予想されており、価格面でもメリットはあるだろう」(商社)とみる向きもある。