電炉・高炉メーカー各社の大幅な需要減を受けて、大阪湾岸からの鉄スクラップ輸出が急増している。関西鉄源協議会(代表幹事=黒川友二・扶和メタル社長)がまとめた2009年1―3月の大阪湾岸船積み数量総計は、前期(08年10―12月)から約3倍の13万5148トンに達した。雑品類が前期比24%減の2万710トンにとどまるなか、鉄スクラップは約7倍の11万3938トンと大幅に増加。国内鉄スクラップ需要量はいぜん低迷しており、4月積みの輸出も大阪を含めて全国的に高水準で推移する見通しだ。
前年1―3月平均で月間40万トン前後だった大阪地区電炉メーカーの鉄スクラップ需要は今年に入り、「およそ半減の月間20万トン前後。高炉メーカーも含めればそれ以上に減少している」(商社)という。
製造業が軒並み大幅減産に追い込まれ、「鉄スクラップ発生量も大きく落ち込んでいるものの、現在のメーカー購入量の水準なら需給は完全に緩和している状況」(同)だが、東アジアからの輸入オファー増が需給緩和に歯止めをかけている。
大阪からの鉄スクラップ輸出が急増したのは、昨年12月から年明けにかけてのこと。「入荷制限や荷止めを続けるメーカー、取扱数量を維持したい商社、売り先を確保したいヤード各社の動きが重なった」(ヤード筋)ことで大阪からも輸出が活発化した。
昨年の大阪湾岸船積み実績で鉄スクラップは月平均で4000トンにも満たなかったが、今年1―3月平均は約3万8000トンにまで増加している。
国内相場は輸出価格の影響で3月中旬から上昇基調に転じ、4月の需要も前月からわずかながら増えているが、いぜん東アジア向け輸出価格が国内相場を上回っている状況が続いている。
懸念材料は大阪地区の輸出依存度が高まっていること。市中では「輸出が相場を押し上げているのは間違いないが、国内電炉は海外の値上げに追いついていない。一転、輸出が下げに転じれば、仕入れ価格と売値の差が急激に縮まってしまう」と警戒する声も聞かれる。