関東地区の老舗大手鉄スクラップ業者、東金属の民事再生手続き開始は、業界構造の課題を浮き彫りにし、これまでの流通網に変化を与える契機になり得る。
東金属は東京、群馬、埼玉に4工場を展開し、鉄スクラップの加工処理販売、産廃収集運搬、選別処理、解体工事、フロン破壊処理などを手掛けている。昨年創業55年を迎えた老舗大手だが、08年秋のリーマン・ショック以降は鉄スクラップ価格下落、取扱数量減少に見舞われた。この時期に以前から計画のあった新工場開設や設備更新が重なったことが、大幅な業績悪化の要因の一つと見られている。
業界内には「他人事ではない」と漏らす経営者もある。国内の経済活動に準じて、鉄スクラップ発生量は低い水準で推移。一方でプレーヤーが増加、同一企業によるヤード増設もあって競争は激しい。1社当たりの取扱量が減少し、事業利益が縮小する中で、各社にとって設備投資が経営に与える負担は、より大きなものとなっている。
一方、家電量販店大手のヤマダ電機が、同社の民事再生支援のためスポンサー契約を締結したことも注目される。「販売からリサイクルまでのワンストップ化」を目指し、「自社事業を通じてリサイクル・リユースの仕組みを構築」する。
循環型社会への流れの中で、ヤマダ電機も省エネ家電、太陽光発電など環境商品の販売に力を入れている。販売から回収までの高度な連携を期待するほか、広範な流通販売網が、家電リサイクル回収にも活用される可能性を含んでいる。