韓国政府環境部は、1000平方メートル以上のヤードを保有している廃棄物事業者(鉄スクラップ業含む)に対し、新たに許可制とする法律を制定した。既存の業者にも適用される見通しで、韓国の鉄スクラップ業界は、内容の解釈を巡り沸騰している。
あらためて許可を得るには、一定の設備が必要になるもよう。スクラップの購入・処理・販売などでは管理状態・販売内容を報告しないといけないことになっており、事業そのものの透明性も問われる。
韓国の鉄スクラップ業界は、鋳物・特殊鋼を含め電炉粗鋼が年間3000万トン近くに達し、1つの事業分野としても一定の存在感を持ってきている。業界の中では年商1000億ウォン(75億円)以上の企業も数社出てきている。さらに株式の上場を計画しているところもある。
突然の許可制導入に戸惑いもあるが、背景には環境に対する世論の高まりと業界の不透明性があるようだ。特に企業の社会的責任や法令順守といった面ではやや逸脱するケースがあり、一部にひんしゅくを買っている企業もある。今年春先には、全国で1000社近くが脱税の疑いで税務調査された。さらに6月ごろには、消費税逃れの廃業と新会社設立が横行したといわれる。こうした事例の防止には、許可制は一定の歯止め効果があるのも事実。
韓国の鉄スクラップ業界は、世界的にも存在感を増している。特に輸出市場では、年間1800万トン輸入するトルコに次いで買いのプレーヤーとして評価が高い。
韓国市場は、2010年で電炉粗鋼(普通鋼)が2480万トン。鉄スクラップの消費ベースではPOSCOのスクラップ消費などもあり、年間2880万トンと推計されている。これに対する供給は、国内発生の鉄スクラップが1200万トン強、輸入スクラップが808万トン、自家発生が600万トン強、さらに銑鉄などが輸入されている。
鉄スクラップ発生の財源となる鉄鋼製品蓄積量は5億2221万トン程度で低いが、年間で2000万トンは蓄積されている。2015年以降には、自給率100%を達成できるとの見通しもある。
制度面での整備は、社会性と国際性を確立するための行政サイドからのアプローチとも取れ、昨年1月実施の鉄スクラップの国家規格KSの実施とともに前向きに捉える向きもある。