ダイワスチール(武英雄社長)は年内をめどに、水島事業所でのスクラップの保管・対応能力を強化するため、投資を実施する。投下金額は全体で約7億円。既存ヤードに隣接する形で、新たにスクラップヤード用の建屋を建設、建屋の付帯設備として大型クレーンを導入する。ヤードの拡張により、スクラップ保管能力は現状比倍増の1万トンとなる。
同社は水島事業所、東部事業所で異形棒鋼を生産しているが、中期的には需要の低迷が続き、採算確保が難しくなるとみており、これに対応するため、コスト競争力のさらなる強化を経営の重要課題としている。
中でも、原材料価格の低減・抑制は大きなテーマで、今回、水島事業所を中心に作業を進める。すでに、溶銑率は07年度上期の50%から、今年度上期は40%、同下期はさらに減らし、安価な鉄スクラップの使用拡大を進めている。
ただ、スクラップの使用を増やすには既存のヤードは保管能力が約5000トンと少なく、これを解消するため新たにスクラップヤードを建設するとともに、積み込み能力を引き上げるため、大型クレーンを導入する。
新スクラップヤードの建屋は今春から建設を開始する。建設概要は30・5メートル×105メートルで、ヤード面積が約3200平方メートル、スクラップ保管能力は約5000トンで、既存のヤードと合わせると、完成後は1万トン体制となる。
ヤード保管能力の拡大に伴い、関東から西送りのスクラップの受け入れ拡大を行うとともに、中国地区の市中スクラップの購入も増やしていきたい考えだ。
▼廃棄物事業に注力 売上高5倍目標
ダイワスチールは中長期的に、廃棄物事業を経営の柱の一つに育成する。現在、同事業は年間売上高が約2億円だが、これを5倍の10億円まで増やす。
同社は2007年3月に、水島事業所で産業廃棄物処分業許可を受け、鉄ダスト、鉄製シリンダー、研磨屑、溶接スラグ、自動車金属部品、ショット屑などを処理していた。昨年4月には一般廃棄物処理施設設置認可を受け、夏以降、廃乾電池など一般廃棄物の処理も開始。同事業所では新設した炉外精錬設備、増強した集塵機により体制を整備し、廃棄物処理事業の拡大を図る。