電炉メーカーの鉄スクラップ購入価格(H2ベース・中心値)は、海外マーケットの影響を受け反発局面を迎えた。輸出価格が国内の水準を上回っており、東京地区は約1カ月半ぶりに上昇、大阪地区も底値を固めた。これまで購入を控えていた韓国や台湾のメーカーからも、日本玉に対し引き合いが出始めている。直近の東アジア向け輸出成約価格(H2・FOB)はトン2万2000円前後。米国玉の輸出価格(到着ベース)も上向いており、足元では台湾向けでCFRトン280米ドル(約2万5000円)の新規商談が聞かれる。
▼東京地区 2000円方上昇
東京地区電炉メーカーの鉄スクラップ購入価格は約1カ月半ぶりに2000円方反発した。大半のメーカーが10日入荷分からトン2000円の値上げを実施。直近の価格(H2ベース・中心値)はトン1万7000―1万8000円、高値1万9000円前後となっている。
普通鋼電炉をはじめとした国内鉄鋼メーカーは昨秋から減産体制に入っており、鉄スクラップを取り巻く需要環境は厳しくなっている。ただ、発生が低迷していることや、輸出が増え市中玉が湾岸ヤードへも流れているため、「多少はメーカーの入荷に影響が出ているのでは」(ヤード筋)と指摘されている。
指標の一つとなる輸出成約価格(H2)は地場の値段を上回っている。足元では、中国だけでなく、韓国や台湾からもオファーが増え始めているが、「地区内の流通量が低迷していることもあり、供給サイドは慎重に対応している」(商社)という。