鉄リサイクリング・リサーチ(本社=茨城県北相馬郡、林誠一社長)はこのほど、東日本大震災で被災した3県(岩手、宮城、福島)の、がれきに含まれる鉄スクラップ量は94万トンで、最終処分に回る物や水没などを考慮した『回収し得る鉄量』に関しては89万4000トンと推測した。
23日に発刊した調査リポート、『震災による3県の鉄スクラップ発生推計』で林社長は、被災地のがれき内に、どれほどの鉄スクラップが存在するかについて、公的機関発表の被災数や各種統計を用いて試算。鉄鋼製品を自動車、土木設備、建物、建物付帯物、建物内在物(鋼製家具・什器、主要家電)の5項目にわけ、それぞれがどの程度スクラップになったかについても推測している。
推測値である回収し得る鉄量89万4000トンに関しては、「3県1年分の鉄スクラップが発生したことになり、特に宮城については年間発生量の1・7倍が回収されると推計される。実際の回収には時間軸を設定する必要があるが、こうした『先取り』は今後、宮城地区の需給に影響を与えるかもしれない」と分析。
また林社長は、「金属スクラップは有価物だが、リサイクルが成立するには汚泥や海水処理、放射能問題など事前処理が行われていることが前提。最終処分される物や水没した物は削減努力が必要だが、行政のインセンティブがなければ進まない。がれきの削減に向け、個別リサイクル法施行で得ているさまざまな知恵を、国や地方行政、産業界が一丸となって生かす時である」と述べている。