製鋼原料商社の大手、ナベショー(本社=大阪市、渡邊泰博社長)は2009年12月期決算をまとめ、鉄スクラップ取扱数量が04年以降、6年連続で200万トンを突破した。ピーク時に指標品のH2国内価格がトン当たり7万円を突破した08年に比べて平均販売単価は大幅に下落したものの、市中鉄スクラップ流通量が08年比で20―30%減といわれるなか、同社の販売数量は月間平均で20万トン前後を維持した。
09年通期の売上高は販売単価の落ち込みなどにより、前期比52%減の616億円。2年ぶりに売上高1000億円を割り込んだものの、市中発生・流通量が落ち込むなか、09年の鉄スクラップ販売数量は239万トンと前年からほぼ横ばいだった。
景気後退などで鉄スクラップ発生量が落ち込むなか、前年並みの扱い実績を維持したことについて、「住宅メーカーなどとの異業種ネットワーク構築が本業の実績にも寄与した」(渡邊社長)と分析。また、「競合他社との営業エリアが重なることによる数量・利益面での勝ち負け、鉄スクラップ相場・市況の議論を社内でタブーとし、会社組織を横割りにすることによるシナジー効果の最優先が結果につながったのではないか」(同)という。
ナベショーは1909年(明治42年)に創業、昨年100周年を迎えた老舗商社。鉄スクラップ事業を中核に、08年に累計販売台数が200台を突破した「もうカッター」などの鉄スクラップ関連商品から、異業種での新規事業も積極的に推進。営業拠点は大阪本社、東京、名古屋、姫路、岡山、西葛西(東京)、麻布(東京)、赤坂(東京)、総社(岡山)。
同社は昨年3月、大和ハウス工業と共同で新型LED事業に新規参入したほか、マンションデベロッパーや解体業者、不動産業、電器メーカー、広告代理店、税理士事務所などと事業提携を結び、ベンチャー企業グループ『Next Ones Club(N.O.C)』を立ち上げるなど積極的に異業種ネットワークを構築している。