中国鉄鋼業は、2015年に国内鉄鋼備蓄量が100億トンに増える見通しから、資源の有効活用と二酸化炭素排出削減に向けて、鉄スクラップの利用拡大を目指す。回収システムの確立や、リサイクル業者と鉄鋼メーカーの加工技術向上によって、不足している鉄スクラップの供給体制を整える。中国鋼鉄工業協会(CISA)と中国廃鋼鉄応用協会は、リサイクル業への優遇税制を政府に要請。リサイクル産業の発展と鉄スクラップの供給増を後押しし、鉄鋼業の競争力と持続可能性の強化につなげる考え。
北京で開催中の第5回中国国際金属リサイクリング会議で10日、CISAの王暁斉副会長と同応用協会の王鎮武副会長が明らかにした。王暁斉副会長は、省エネ・廃棄物削減は国家政策とし、「中国の電炉シェアが低いのは、鉄スクラップの供給が少なく、品位が低く、価格が高いため。鉄鋼蓄積量はすでに50億トンあるが、少なくとも15年まで、鉄スクラップの供給量は大きく増えない。リサイクル業者とともに鉄鋼メーカーと鋼材加工業者も、回収基地の設置や加工設備の導入などに努めるべき」と使用量拡大の道筋を示した。
王鎮武副会長は、備蓄量が15年に100億トン、発生量は2億トンと、11年の1億3190万トンから増えると予測。粗鋼生産は8億トンとピークを迎え、「鉄スクラップの供給が増え、15年を境に粗鋼トン当たりの鉄スクラップ消費が増える」と見通した。
鉄スクラップの11年の製鋼消費量は9100万トンと前年比3・3%増。市中購入5080万トンと4・2%減、自家発生3560万トンと7・9%増、輸入510万トンと6・3%増。06年に比べ消費は35・4%増えたが、粗鋼生産は63%増えており、粗鋼トン当たりの消費は133キロと16・9%減少した。
同応用協会は15年までの第12次5カ年鉄リサイクル業発展計画で、鉄スクラップの加工能力を増やす方針。年間能力20万―30万トン以上の業者を100社増やし、総扱量の50%を加工する。切断機や磁力選別器など設備を導入し原料の品質を高め、循環利用を促す。