国内電気銅・原料市況の取引指標とされる産銅建値が23日、ついにトン当たり１００万円大台を再現した。外国為替市場での円安・ドル高基調が定着しているもとでの、海外銅相場の連騰が引き金。産銅建値の１００万円大台乗せは、昨年５月15日以来、ほぼ１年ぶりのこと。関係筋ではロンドン金属取引所（ＬＭＥ）在庫が直近のピークであった21万トン台から16万トン台へ減少を続けているうえ、中国筋のオリンピック需要を背景とした根強いインフラ（社会基盤整備）需要が見込まれているため、「目先も供給面での不安が新たなファンド買いを誘発して、海外相場が上値を追うとともに、国内産銅建値も史上最高値を塗り替え続けても不思議ない状況」と、先高観が支配的。

　 日鉱金属は23日、４月積み産銅建値をトン当たり１万円引き上げ１００万円（月間平均96万１０００円）に緊急改定、即日実施すると発表した。海外相場の連騰と為替の円安定着を映したもので、新建値の１００万円は昨年５月15日に並ぶ史上最高値。また直近の安値をつけた２月６日の69万円からの上げ幅は45％（31万円）。４月月初87万円からでも15％（13万円）に達する急騰。

　 産銅建値引き上げの最大要因は、海外相場の暴騰。海外相場は２月初旬にＬＭＥ銅セツルメントでトン当たり５２２５・50ドル、ニューヨーク商品取引所（ＣＯＭＥＸ）銅当限でポンド当たり２４０・45セントと、昨年３月下旬以来の安値へと値を崩していた。しかしその後は突っ込み警戒感の台頭へ加え、中国銅輸入の急増、ＬＭＥ在庫の減少をハヤして一転急反騰。この２月初旬を目先底に一本調子の棒上げを演じ、現地４月17日にはＣＯＭＥＸ銅が３６７・40セントと昨年９月初旬以来の戻り高値を示現。ＬＭＥ銅セツルメントも18日には８０５３ドルと昨年８月10日以来の８０００ドル大台乗せを再現して、先週末21日入電（現地20日）でもＣＯＭＥＸ銅当限で３６０・６５セント、ＬＭＥ銅セツルメントで８０３９・50ドルの高値圏で頑強に推移している。

　 加えて、外国為替市場でも円安・ドル高が定着。23日は「円」ＴＴＳが１ドル＝１１９・98円（ちなみに昨年５月15日の円ＴＴＳは１ドル＝１１０・95円）と先週末比０・24円安となっていることも支援材料。なお24日入電の目安となるニューヨーク場外取引価格（中値７９５５ドル。逆ザヤ48ドル）で算出した推定輸入採算価格は、プレミアム・諸掛かりトン４万３０００円を上乗せして、トン１００万３０００円強と新建値をクリアしている。