銅スクラップの市中価格が過去最高値圏まで上昇している。指標となる銅建値が、海外相場高騰を背景にトン100万円の史上最高値を回復したためで、スクラップの代表品種である1号銅線はキロ900円近くまで上昇している。市中では目先の海外相場は底堅いとの見方が有力なこともあり、市中価格の高値推移はしばらく続きそうだ。
1号銅線の東京地区における市中価格は、足元で880―900円。昨年5月に銅建値が史上初めてトン当たり100万円を記録したときの市中価格キロ880円あたりと同水準にある。2月初旬の直近安値630円からは、40%程度切り上がった。
同様に、亜鉛を含む黄銅系品種も急騰している。主に黄銅棒メーカーが原料として使用する黄銅削り粉の市中価格は、足元で690円前後とこちらも史上最高値圏にあり、2月初旬の直近安値500円からは40%程度切り上がった。
3月以降の相場暴騰下で、原料問屋は反落したときの含み損リスクを考えると高値追随には抵抗感がつきまとっていた。足元は現行建値と平均建値(96万1000円)の値差が4万円程度あり、月末の値決めに平均を用いることを考えても買値を上げにくい状況だ。このため、多くの原料問屋が、在庫に余裕のある黄銅削り粉に買い意欲を弱めている。
しかし、発生量の減少している1号銅線に関しては必要量の確保が困難な原料問屋もある。ある原料扱い筋が「1号銅線はある程度まとまった量であれば、買値を900円以上まで切り上げる場合もある」と指摘するように、「高値もやむなし」的な商いになっている。
また、反落懸念の一方でロンドン金属取引所(LME)の在庫減少などから海外相場の堅調さに対する信頼感が増しており、「目先は底堅い」との見方が市中で強まっている。このため、大崩れしないと見る原料問屋では積極的に買値を切り上げていく姿勢も見られる。依然としてノミナル感は残るものの、しばらくは市中価格の高値推移が続きそうだ。