特金スクラップ問屋の富士興産(本社=大阪市浪速区、小川金治郎社長)はこのほど、2015年までの中期経営計画を策定した。電池スクラップやレアアース事業を柱に収益強化を図り、最終年度の年間目標は売上高34億円、利益1億6000万円としている。
同社はニッケル、コバルト、チタン、タングステンなどの特金やステンレススクラップを取り扱い、日新製鋼など大手ミルや電池メーカーに納入している。取扱数量は月間1000トン。昨年3月に金融機関とのデリバティブ(金融派生商品)取引解除のため、民事再生法を申請して適用され、11月に経営再建計画が認可されている。
このほど策定した15年までの4年間の「安定経営計画」では、財務指数の充実、数字管理の徹底、社員教育による少数精鋭主義の確立、組織充実と意識の統一を基本方針としている。今年の目標を売上高30億円、利益1億2000万円と設定し、売上高1億円と利益1000万円ずつを毎年積み上げる計画だ。
収益強化策の一つである電池スクラップ回収は、ニッケルやコバルトを含んだハイブリッド車用リチウム電池を対象にしたもので、足元でも月間扱い量は100トンまで増えている。工場発生物がメーンだが、将来は市中発生スクラップの回収まで視野に入れている。
レアアース事業は、国内外でメーカー発生のネオジム磁石のスクラップなどを回収しているほか、「始めたばかりで実績はこれから」(小川社長)と話す中国産レアアースの輸入販売も本格化させ、原料全般をカバーしていく方針だ。
対中国貿易にも引き続き注力する。昨年1月には品質マネジメントの国際認証「ISO9001」(2008年版)を取得し、8月に中国向けのスクラップ輸出ライセンスを取得。これまでは韓国や台湾との取引が多かったが、足元は中国輸出が売上比率の50%近くまで伸びている。