銅リサイクル 原料備蓄の必要性指摘
経産省、マテリアルフロー策定
日刊産業新聞 07/04/20
経済産業省はこのほど、銅スクラップ・リサイクル調査研究事業として、「銅マテリアルフロー」を策定し、その中で、銅リサイクルの課題抽出とリサイクル率向上に関する提言を行った。銅鉱石から製錬・加工・回収まで一連の流れを試算値を基にフローとして明らかにしたのは、初めての試み。提言では流通の取り組みとして、解体の機械化や、スクラップを備蓄するリサイクル原料のバッファー機能機関設立の必要性を指摘。また、技術面では、選別技術の高度化と易解体設計の推進や解体のための情報提供・情報公開、伸銅メーカーの前処理技術開発などが重要とした。また、制度面では、リサイクル法整備についても言及している。
今回の研究結果は、3Rシステム化可能性調査「伸銅品等のリサイクル実態調査と銅系資源リサイクル率向上策の調査研究事業」として、調査検討委員会(委員長=長坂徹也・東北大学大学院環境科学研究科教授)がとりまとめたもの。住鉱テクノリサーチを事務局に、経済産業省がオブザーバーとして参加し、委員は製錬・伸銅・流通各社のほか業界団体責任者など合計14人(委員長含む)。調査目的としては、伸銅品製造工程などで発生する銅スクラップおよび廃家電・廃自動車の各種使用済製品に含まれる銅系リサイクル原料に関し、国内および中国など東アジアにおける循環の実態解明を行い、リサイクル率向上策を検討。また、最適な銅スクラップリサイクルシステム構築に向けた提案をめざし、昨年9月から合計3回討議を行った。
このうち、課題として国内リサイクル率については、雑品スクラップが国内で解体されず中国に輸出されている現状を把握。主な理由としては、人件費の内外価格差や雑品スクラップの高評価、ミックスメタル選別技術の限界などがあるとした。また、国内リサイクル法の整備や埋め立て処分と不明分の把握なども課題と指摘する。国内リサイクルと銅スクラップ海外流出の関係では、人手に頼らざるを得ない部分は人件費が安くリサイクル可能な国へ輸出し、海外を含めた循環システム構築も適当と結論付けた。
リサイクル率アップに向けた取り組みとしては、人件費が高い日本において機械主体の処理を模索する必要があるほか、余剰スクラップが発生した時に、余剰分を買い上げてストックし、必要に応じて在庫分を放出する機関設置も検討すべきとした。
また、伸銅品製造の前処理工程で処理し、不純物を除去する技術開発も望まれると位置付けた。さらに、制度面では、家電・自動車・建設・パソコン以外のリサイクル法整備やシステム化対応も指摘している。
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