鉛蓄電池向けリサイクル原料になる廃バッテリーの市中相場が反落に転じた。鉛相場の上昇や韓国向け輸出価格の高騰に押し上げられて年初からほぼ一貫して上げ基調で推移してきたが、海外相場急落で上げが一服した。ただ、売り手市場で割高な状況は変わらず、需要家は低採算状況を抜け出せずにいる。
廃バッテリーは、自動車用バッテリーの極板に使われる再生鉛地金の原料になる。鉛相場続伸に加え、韓国向け輸出価格が国内流通の採算ラインを上回る価格帯で推移していることで市中相場が高騰。今月はじめにキロ60円台後半(二次精錬買値、大口)まで上昇し、年初の20円前後から約3倍になった。
しかし、ロンドン金属取引所(LME)鉛相場が現地8日の最高値トン2447・5ドルから1週間弱で約400ドル(16%)急落したことを受け、今週に入ると50円台後半に反落した。
国内バッテリーメーカーの鉛需要は、「冷夏で補修用バッテリーの積み替えが伸び悩んだ影響で低迷している」(大手二次精錬)。一方、韓国の廃バッテリー需要は依然として底堅い。積み替え需要の不振で発生量が増えていないこともあり、廃バッテリーは内需低迷でも引き続き集荷競争が激しい。
バッテリーメーカー向けに再生地金を販売する二次精錬からは、「足元の鉛相場からすれば50円台前半以下に抑えたい」との声が多く聞かれる。しかし、韓国向け輸出価格に対抗すれば50円台後半もやむを得ないのが実情。引き続き採算維持が厳しい経営を強いられている。
二次精錬各社には、バッテリーメーカーに対して価格条件の改善を求める動きが出始めているが、製品需要低迷で収益が悪化しているバッテリーメーカーは、原料コスト増を容認しづらい。冬季バッテリー需要に向けて原料消費が増える来月以降は、市中で一段と集荷競争が激しくなりそうで、売り手がさらに強気に出ることを懸念する声もある。