スイスの資源大手エクストラータは26日、カナダのニッケル生産大手ライオンオア・マイニング・インターナショナルを46億加ドル(約4700億円)で買収すると発表した。ライオンオア社側も同意しており、買収が実現すればニッケル年産15万トン以上という世界第4位のニッケル生産者となる。世界のニッケル市場はリオドセ(CVRD)、ノリルスク・ニッケル、BHPビリトン、エクストラータの4社で約60%を占めるようになり、寡占化が一段と進むことになる。
市場の寡占化進む 4社で60%
エクストラータとライオンオア社は、ライオンオア社1株当り現金18・50加ドルの買収提案に同意した。これは、トロント証券取引所のライオンオア社株の23日終値17・49加ドルに5・8%のプレミアムがついている。過去30日間の平均株価に対しては16・5%のプレミアムとなっている。
ライオンオア社の2006年営業利益は5億3330万米ドル(約630億円)、純利益は4億2850万ドルで過去最高益を記録した。オーストラリアやボツワナ、南アフリカなどでニッケル、金などを生産。07年のグループ全体のニッケル生産量は、前年比30%増の4万4300トンを見込んでいる。
一方のエクストラータは昨年、加の亜鉛、ニッケル大手であるファルコンブリッジを買収。亜鉛ではテック・コミンコを抜き世界最大手に躍進したほか、ニッケルでも年産11万トン以上の世界第4位に浮上した。
ライオンオア社の買収が実現した場合も生産規模の順位に変動はないが、05年生産15万2000トンのBHPビリトン(06年12月中間期の生産は9万2000トン)に肉薄する。さらにニッケルの権益も加、ニューカレドニアなどに加え、豪州とアフリカに広がることになる。
ニッケル資源の上位4社の寡占率は05年の50%から07年には60%になる見通し。ニッケル生産者の勢力図も05年以降大きく変わった。加インコを昨年買収したCVRDが、ロシアのノリルスク・ニッケルを抜き世界最大手となった。BHPビリトンも豪WMCリソーシズを買収して世界第3位になった。