鉛スクラップの発生難が長引いている。高値を覚えた手持ち筋の売り惜しみは、鉛相場が下落してから約3カ月に及ぶが、集荷情勢は一向に改善されていない。廃バッテリーや鉛管板などの上鉛スクラップの市中取引価格の下げ足も遅く、アンチモン入りは特に人気高が続く。一部の再生鉛では、電気鉛を上回る「親不孝相場」を示現するケースも出ている。
鉛のロンドン金属取引所(LME)相場は、9月に2500ドルから2000ドルまで急落して以降、同値圏推移が続いている。この指標安を受け、国内では末端の発生元から中間の流通筋までが、全面的に放出を控えるようになっている。
再生鉛の主原料である廃バッテリーは、9―10月の韓国向け輸出数量が約2000トンに半減。しかし国内の需給は緩まず、市中価格もキロ70円前後から5―10円しか下がっていない。
市場関係者は「集荷業者は資金力があるので、損切りの感覚がない」(商社)と指摘しており、あくまで相場回復を待つ構えのようだ。
上鉛スクラップも秋から発生薄。水道の取り換え工事で発生する廃鉛管は、鉄鋼系のスクラップ業者に集まるが、「置き場に困るような品ではないので、換金を急ぐ様子はない」(集荷業者)。特に西日本地区では発生難が深刻で、市中相場はキロ110円前後を付けている。
活字鉛スクラップも高値を維持。通常は上鉛より下値で取引されるが、西日本では「スポットで120―130円」(同)という取引も存在する。
アンチモン13%含む活字鉛4種は、鋳物への配合などに適しているが、震災後は海外筋も含めて争奪戦となり、その熱がまだ完全には冷めていないようだ。
これらを再生・精錬した1号鉛や、アンチモン入りの3号鉛などの地金類はさらに不足しており、電気鉛を上回る「親不孝相場」が常態化している地域もある。