銅箔メーカーと原料問屋各社が結ぶ銅スクラップの長期契約で、4―6月期の価格条件は、今期よりトン2000―3000円引き下げられる見通しだ。数量は最大2割程度の削減になるもよう。半導体関連の生産低迷が続き、今後の需要回復のめども立たないため、メーカー各社は原料購入意欲を一段と弱めている。足元の原料市況は、銅系ウワ物品種を中心に荷余り感が強く、今後さらに需給が緩む懸念がある。
関東の大手銅箔メーカーは3月中旬、原料の銅ナゲットの購入価格に上乗せする割増金(プレミアム)を、4―6月期はトン2000―3000円引き下げるとの条件を原料問屋各社に提示した。
足元の銅箔需要は、パソコンや液晶テレビなどデジタル機器の販売不振で、半導体関連の需要が低迷し、電池分野も悪い。ある大手問屋は、「メーカーの状況を考えれば、2000―3000円の引き下げはやむを得ない」と一定の理解を示す。
購入数量に関しては、原料問屋ごとにバラつきがみられる。足元の1―3月期は、昨年7―9月期比ですでに2―3割程度削減されている。このため、各問屋の削減状況や契約数量に応じ、メーカーは横ばいから最大で2割程度の削減を求めている。
ほかの銅箔メーカーも同様に、4―6月期の原料購入条件は厳しくなる公算が大きい。その他の板条メーカーや黄銅棒メーカーは、価格条件をおおむね横ばいとする見通しだが、購入数量はメーカーによって下振れる可能性もある。問屋筋からは、「昨年から取扱量減少が続いており、これ以上の削減は経営上厳しい」との声も聞かれている。
足元の原料市況は、メーカーの購買意欲低下を背景に、1号銅線や銅ナゲットなどの銅系ウワ物品種を中心に、荷余り感が強い。メーカーの購入条件引き下げで、直納問屋の買い気が一段と弱まり、市中では荷動きの停滞や価格低迷がさらに進む懸念がある。