銅スクラップの市中価格が高騰している。指標となる銅建値が海外相場高を背景に上昇しているためで、代表品種の１号銅線は６日現在キロ８００円台。２月初旬の直近安値から約30％上昇し、年初来高値をつけている。亜鉛を含む黄銅系品種も値上がりしており、足元の市中価格は昨年12月以来４カ月ぶりの高値水準にある。海外相場の強基調を受け、スクラップの市中価格はさらに先高観を強めている。

　 銅箔、伸銅品メーカーなどが主要なリサイクル原料として使用する１号銅線の東京地区における市中価格（仲間現金）は、８１０円程度まで切り上がっている。市中価格が８００円台に乗せたのは昨年11月初旬以来約５カ月ぶり。２月上旬につけた直近安値６３０円からは29％上昇した。

　 また、黄銅棒メーカーなどが原料に使用する黄銅削り粉の市中価格も６４０円前後と、直近安値５００円から28％上昇している。

　 銅スクラップ価格高騰の背景には、銅建値の急伸がある。日鉱金属は４日、４月積み銅建値をトン５万円引き上げ、92万円に改定した。昨年10月26日以来約半年ぶりに90万円台を回復。２月初旬の直近安値69万円からは33％上昇した。

　 ロンドン金属取引所（ＬＭＥ）銅在庫が年初来低水準にあることや、中国などの需要が依然としておう盛なことから、足元の海外相場は強含んでいる。このため、銅建値も目先は一段高との見方が市中で強まっている。

　 ただ、市中は慢性的なスクラップ不足に直面しており、昨年春の上昇相場時とは状況が異なる。足元はスクラップの発生が例年と比べて極端に少なく、市中に活発な荷動きはない。原料扱い筋にとってはスクラップの確保が難しいことに加えて高値からの反落によるリスク懸念もある。市中は荷動き閑散な中、ノミナル化しているのが現状だ。