怡球金属資源再生(中国)は2017年までに、アルミ二次合金の生産販売量で世界第1位を目指す。17年までにグループ全体の月産量を現在比約3倍の10万トンに引き上げる。中国の新工場は15年に、マレーシアの新工場は14年にそれぞれ生産開始を予定。日本向けを中心とする輸出拡大と成長が続く中国市場で拡販を図る。
このほどケニー・リュー営業/物流/原料部長が産業新聞の取材に応じた。怡球金属は現在、中国の太倉政府と土地取得の交渉を進めている。同政府は130万平方メートルの土地取得を承認しているものの、怡球金属は260万平方メートルの土地取得を目指しており、交渉は難航している。「7月までに政府との交渉を終わらせ、最終的な建設地を決定する」(ケニー・リュー部長)。太倉市が第1希望だが、260万平方メートルの土地取得が実現しない場合は、ほかの都市での工場建設を目指す。
マレーシア・ジョホールの新工場は、建設工事がまだスタートしていない。燃料となる天然ガスの供給量についてマレーシア政府との交渉が続いている。
怡球金属は上海証券交易所Aへの株式上場を契機に、事業展開を加速させる。17年までに販売数量世界第1位を目標に掲げる。中国で月7万5000トン、マレーシアで2万5000トンを生産する。グループ全体の輸出比率は50%を見込む。日本の需要家向けの販売量をさらに増やす。
世界最大の市場、中国では引き続き販路を開拓する。競合他社が月5000―6000トンの工場を相次いで建設する中、怡球金属は2万5000トン以上の大型工場のみを操業する独自の事業戦略を突き進む。中堅以下のダイカストメーカーに対して「相手先の与信問題などを厳格に調査しながら慎重に営業を進め、徐々に販売量を増やしていく」。
中国北部に保管能力3000トンの地金倉庫を建設する。広州にある倉庫と合わせて、販路拡充に活用する。
中国の二次合金メーカーは製品販価が低迷する中、アルミ原料価格と人件費の高騰に直面し、収益を圧迫されている。怡球金属は一層のコスト削減を図り競争力をアップする。「具体策として工場のオートメーション化(機械化)をさらに進める。中国の新工場には原料ヤードから溶解炉にアルミ原料を運搬するためのベルトコンベアーを導入する」。