経済産業省が発表した6月の非鉄金属等需給動態統計調査によると、製錬向け銅合金スクラップの消費量は前年同月比58%増の3万4259トンとなった。今期は銅製錬各社が増産に転じ、スクラップの使用量を増やして対応していることが影響。5カ月連続で増加した。
昨年6月は2万1647トン。3月の東日本大震災による被災の影響で小名浜製錬所が操業を停止していたことなどから、例年より少なかった。今期は住友金属鉱山が過去最高となる43万6000トンの電気銅生産を計画し、二次原料の使用量を増やして対応するなど、製錬メーカーの原料需要は強含んでいる。
一方で原料流通市場は、景気低迷のあおりを受け、製錬向け低品位銅合金スクラップ(下銅、山行き2号)の発生元となる解体物件などの減少が著しく、発生は漸減している。市中では製錬向けに納入枠を持つ原料問屋や商社が高値買いを繰り広げており、需給は引き締まっている。
伸銅向けの銅スクラップは42%増の2万9907トンだった。昨年6月は、東日本大震災による工場稼働の停止や、相場急落の影響で市中スクラップ発生が急減。メーカーは予定数量の確保ができず使用量は大幅に減っていた。
伸銅向けの銅合金は11%減の4万0551トン。最大の需要先である黄銅棒メーカーが、製品需要の伸び悩みと相場下落への懸念から生産量を抑える姿勢をとっていることが要因。電線向けの銅スクラップは7・1%増の1万4478トンと、増加に転じた。