米西海岸の大手鉄・非鉄原料業者、アルパート&アルパート(本社=カリフォルニア州ロサンゼルス市、アラン・アルパート社長)のハーベイ・ローゼン・アルミ部門副社長は16日、都内で産業新聞の取材に応じ「中国市場を筆頭にアルミスクラップ需要が旺盛な状態は来年も続く可能性が高い。この影響でアルミ原料の需給バランスもタイト感は解消されないだろう」と語った。
ローゼン副社長は今回の来日の直前、1週間ほど中国に滞在しアルミ二次合金メーカーなどを訪問した。最大手の上海シグマや大手メーカーの怡球(本社=江蘇省蘇州市)、大紀アルミニウム工業所が20%出資する大正アルミニウム工業所(本社=広東省四会市)などを訪れ、各メーカーの足元の生産状況や今後の見通しを聞いた。
ローゼン副社長は中国での商談を踏まえ「自動車産業の急速な成長に伴い、中国の二次合金需要も大きく伸びており、メーカーのアルミ原料購入意欲は一段と強まっている」と実感。各メーカーが年末から来年にかけて大規模な生産拡張を予定していることに言及し「大手メーカーの生産量増加に連動し、中国のアルミスクラップ消費量は今後さらに伸びるだろう」と見通した。ただ、この1年間の中国需要の回復と成長が予想を上回るハイペースで進展したことを考慮し「来年、拡大のスピードが若干鈍る可能性もある」との見方も示した。
また、足元のアルミスクラップの需給バランスは「ひっ迫感が一段と顕著になっている」と指摘。アルミスクラップの発生源である北米や中南米の製造業が引き続き低迷し、工場発生が大幅に減退していることが主因という。「発生量はここにきて若干上向いているが、一般のアルミ原料およびゾルバともに依然低水準にとどまっている」。
アルパート&アルパーは1930年に操業開始。アルミを主体とした非鉄スクラップや鉄スクラップ、廃プラスチックを取り扱う。従業員数は約140人。
アルミ原料の調達先は北米や中南米、欧州諸国など世界各国に及ぶ。中国や韓国、台湾、ブラジル、インド、日本などと販売取引がある。ロサンゼルスとロングビーチに、ともに広さ3万平方メートルのヤードを構え、ニュージャージーにリスク管理事務所を置く。7月にはフランスのパリに営業所を開設し、アルミ原料の購入体制を強化している。