JX日鉱日石金属は、リサイクル拠点のHMC工場(茨城県)を、年内にフル操業させたい考えだ。2009年4月までに第1期から第3期までの全設備が稼働。現在は非鉄金属や貴金属などを回収する工程は、フル操業できる状況にある。技術的な課題が残っていた一部のレアメタル回収工程も、課題解決のめどが立ったことから、これから徐々に稼働率を上げていく方針だ。
HMC工場は銅、鉛、亜鉛、ニッケルの製錬プロセスが結合したリサイクル工場。銅製錬拠点の佐賀関製錬所(大分県)で発生する中間生産物や廃電子基板などのリサイクル原料から、ベースメタル、貴金属、レアメタルなどの16元素を回収している。
錫、ニッケル、アンチモン、ビスマスなどを生産する第1期の工場が08年8月に稼働した。その後09年1月に亜鉛とインジウムの第2期工場が操業を始め、同年4月に第3期として銅、金・銀、白金系貴金属の各工場が稼働している。
すでに銅、鉛、亜鉛、ニッケル、貴金属などの工程はフル操業できる状況にある。ただ鉛や亜鉛製錬の副産物として生産される一部レアメタル回収工程が難航していた。佐賀関製錬所で発生する中間生産物に入っているレアメタルの品位などが不均一なため、歩留まりが上がらなかった。
同社は不均一なリサイクル原料のデータを蓄積。それぞれの原料に適した操業条件などのノウハウを積み上げ、課題解決にめどをつけた。設備の改善なども行った。当初は10月ころにフル操業する予定だった。東日本大震災の影響で計画が遅れているが、年内にフル操業したい考えだ。