DOWAホールディングスグループの小坂製錬(本社=秋田県鹿角郡小坂町、山崎信男社長)は9日、導入した新型炉の竣工式を開催した。多種多様な原料に対応した国内初の炉で、リサイクル原料の使用拡大や金属回収の効率化に寄与する。きょう10日から試験操業に入り、来年3月に本格稼働する。将来ニッケルや錫を加え、国内最多の19種を回収。秋田で展開する非鉄コンビナートを強化し、環境リサイクル事業の拡大を図る。
輸入鉱石のほか、電子基板やスクラップなどのリサイクル原料から金、銀、銅や鉛、ビスマスなどのレアメタルなど17種類の元素を回収しているが、これまでは品位が均一な原料が必要だった。
新型炉と回収効率の高い銅電解技術を導入して、リサイクル原料に対応可能な最適プロセスを確立した。新炉は炉内温度・雰囲気制御が容易で投入原料のサイズや水分の許容度が高いため、低品位鉱やリサイクル原料の使用範囲を広げる。小坂での新炉建設は約40年ぶりで投資額は約120億円。
年間25万トン使用する原料のうち輸入鉱は約70%だが、海外資源は調達難の傾向が強く、コストも上昇。一方で廃棄物処理を手がけるグループ会社などとのネットワークで原料ソースの多様化を進めている。有利な鉱石原料の調達を行いつつ、グローバルな原料集荷体制を整えて集荷量を増やす考え。
式典には寺田典城・秋田県知事、吉川廣和・DOWAホールディングス代表取締役会長・CEOらが出席。DOWAホールディングスの河野正樹社長は「2000年度から事業構造改革を進め、製錬を基点に素材の付加価値を高めてきた。来年度は仕上げの年であり、小坂製錬を要としてアジアの資源循環型企業として主導的な役割を果たしていきたい」とあいさつした。