銅、黄銅、アルミスクラップなどを含むミックスメタル(ゾルバ)の中国向け輸出が好調だ。扱い筋によると「1月中旬ごろから広州地域の新規トレーダーや選別業者からの引き合いが強まっている」という。背景には需要家の在庫整理が一巡したことや、市況が底を打ったと見越しての買いが拡大傾向にあるようだ。ただし、中国国内も自動車産業などの冷え込みが深刻化、長期化の様相を呈しており、春先以降の需要動向には不透明感が漂っている。
世界同時不況の影響で停滞していた中国向けミックスメタルの輸出が、活気を取り戻している。関東地区の大手ミックスメタル処理業者は1月に過去最高となる350トンほどを中国向けに出荷した。2月も300トンの販売を見込む。需要が旺盛だった昨年7月ごろまでは安定的に月240―250トン前後を輸出していた。
関係者によると昨年12月後半から、中国側で新規にミックスメタル処理業者が相次いで起業したことを受け、日本への引き合いが年明けから急速に強まっているという。
ほぼ底値水準で推移していることも需要家の積極的な買いにつながっているもよう。非鉄相場全般の暴落に連動し、ミックスメタル価格も安値圏で取引されている。ダスト類の混入率3%以下、銅分が40―45%の高品位ミックスメタルを扱う業者によると、足元の売値はキロ当たり65―70円(港置き場渡し)。昨夏には220円(同)前後で売れていた。
中国は旧正月が終わり、広州の工業団地にある大半の工場や選別処理ヤードは週明けから稼働を再開した。輸出筋は「今後、足元の需要回復が一過性のものか本格的なものか慎重に見極める必要がある」と語る。
北京オリンピック閉幕の反動による景気減速で昨年9月ごろから中国側の購入意欲は大きく鈍った。世界的な金融危機に伴う景況悪化がこれに追い打ちをかけ需要は激減。また、資金繰りに窮した中国のミックスメタル選別業者は、相次いで廃業や倒産に追い込まれた。
与信問題から、日本の扱い業者の中には中国向けの輸出停止に踏み切ったところもあったため、昨秋以降、日本から中国へのミックスメタル販売量は大幅に減少。財務省の通関統計によると、大半がミックスメタルとみられる日本から中国へのアルミスクラップ輸出量は10―12月に前年同期比25%減の1万1659トンにとどまった。