中国向け雑品輸出に荷動き復調の兆しがある。バラ積み船の滞船が解消傾向にあり、新規の積み出しが可能になっているためだ。ただ、中国税関の課税基準額引き上げなどにより相場は伸び悩み、中国筋の引き合いは依然として強くないとの見方も強い。中国向けの雑品、銅スクラップ輸出が本格化するのは、早くとも今月下旬以降になりそうだ。
日本の銅スクラップ、雑品輸出において、中国は出荷先の9割を占める。鉄、非鉄、廃プラスチックが混在する雑品は、ここにきて若干荷動きが出ている。中国向けのバラ積み船が回ってくるようになったためだ。
2月は旧正月前後で作業人員が不足していたところに1月に手当てした大量のスクラップが到着し、中国の港湾部に在庫が積み上がった。中国近海の天候不順などもあって大規模な滞船が発生し、日本に回ってくるバラ積み船が極端に少なかった。
今月中国を訪れた輸出筋によると、3月中旬まで中国に到着した船が荷揚げするのに10日程度かかったが、足元は3日程度まで短縮しているという。ほかの輸出筋も、「3月末に船をチャーターでき、3月初めの契約分をやっと出荷できた」と話す。
雑品輸入の主要港の一つである台州では、港湾部の雑品在庫が減少し始めているとの話がある。ただ、複数の輸出筋が「最悪期を脱しただけで、中国の引き合い自体はそれほど改善していない」との見方を示す。
足元は課税基準額の上昇も中国筋の慎重姿勢を後押ししている。中国は税関(海関)ごとにスクラップ品種の基準額を設定し、輸入時に17%の増値税をかける。ここへきて銅価が高騰しているため基準額は上昇傾向で、「雑電線の主要な輸出先である天津は上昇がとくに著しい」(大手輸出筋)。
中国筋は、買い付け価格を抑えて税金増加分を相殺したい思惑が強い。輸出業者買値は、工業雑品キロ50―55円、鉄などの混入がない込み黄銅400―420円、雑電線(歩留まり40―42%)270―280円あたり。この1カ月余りで銅価は1割程度上昇したが、雑品や銅スクラップの輸出相場はほぼ横ばいだ。
銅価高騰で港湾部の安値在庫の消化が一段と進めば、新規輸入が増えるのではないかとの期待感はある。為替相場の円安傾向も追い風で、「相場地合いが悪化しなければ今月下旬以降は流れが改善するかもしれない」との見通しも聞かれる。ただ、中国の金融引き締めで「スクラップ業者の資金繰りは厳しい」といった実需以外の要因も存在し、不透明感はぬぐえない。