伸銅、銅箔、製錬メーカーと原料問屋、商社が結ぶ銅スクラップの長期契約で、7―9月期の交渉が大詰めを迎えている。価格条件はほとんどのメーカーで横ばいとなる見込みだが、一部には数量の削減を要求するメーカーもあり、今後も需要不振が長引きそうだ。銅スクラップは景気低迷と銅価下落の影響で発生量が低迷していることもあり、原料問屋各社は今後も荷動きの鈍化に頭を悩ませることになる。
銅箔メーカーは、4―6月期からおおむね横ばいとなる見込みだが、一部のメーカーには価格条件をキロ1円引き下げたり、数量を削減する動きがあった。4―6月期は各社とも価格条件をキロ2―3円引き下げ、数量も2割程度削減していることから、原料問屋にとっては厳しい条件の契約となる。7月は一時的に増量するメーカーもあるようだが、例年8月は稼働日数が少なく原料需要も落ち込むことから、7―9月期も需要不振が続きそうだ。
板・条関連のメーカーも横ばいとなりそう。自動車関連の販売が好調なメーカーは堅調な引き合い続きそうだが、需要が伸び悩んでいるメーカーもあり、バラつきが見られる。
ある関東の大手問屋は、「市中は発生薄のため、ナゲットの原料となる電線、1号銅線などのウワ物スクラップは高値で手当てせざるを得ない。一方でメーカーへの販売数量は低調なため、問屋にとっては体力を消耗する局面だ」と話す。
黄銅棒はメーカーによって異なるが、一部のメーカーは原料問屋各社に数量の削減と価格条件の引き下げを提示している。「価格は横ばいでも、数量を削減された」(都内の直納問屋)メーカーもあり、黄銅棒の不振が目立つ。市中では黄銅削り粉などのスクラップの荷余りが進行。ある直納問屋は「夏に向けてメーカーの購買数量が予想に反して伸びなかった。在庫が消化されるのは10月以降になるだろう」と話す。
製錬は昨年比で大幅な増産となる一部メーカーの影響もあり、7―9月期も需要は堅調。転炉工程で使用される下銅(山行き2号)は、需給がタイト化し市中価格も高騰している。ただ、原料問屋からの購入価格に上乗せする「プレミアム」の引き上げはほとんどないもよう。市中では製錬メーカーへの長契枠を守るため、採算を度外視した価格で集荷せざるを得ない直納問屋も多く、7―9月期の集荷難を懸念する声も強い。