銅箔、伸銅メーカーと原料問屋が結ぶ銅スクラップの長期購入契約は、1―3月期は価格条件、数量とも悪化しそうだ。メーカー各社は秋以降の需要下振れで、原料購入意欲を弱めている。スポットでの原料調達はすでにほとんど行っておらず、1月以降は長期契約分の購入量も削減される。これを受けて原料問屋や商社の購入意欲も減退しており、市中相場は伸び悩んでいる。
関東の大手銅箔メーカーは今月上旬、原料の銅ナゲットの購入価格条件を、1―3月期はトン1000―2000円引き下げると商社、原料問屋に通達した。購入数量も10ー12月期に比べ、少なくとも2割程度削減される見通しだ。ほかの銅箔メーカーにも、価格条件引き下げ、数量削減の動きがある。
同社は他地区の伸銅工場でも、1号銅線などのウワ物スクラップの価格条件を同様に引き下げ、数量をカットする。
板条メーカーの購入意欲も減退している。関東の大手メーカーは、秋以降に中国で日本車の生産が急減したことなどを背景に、好調だった自動車向け製品需要が下振れしていることから、原料の購入に慎重な姿勢をとっている。直納筋によると、「10月ごろまではスポットでも購入意欲が強かったが、足元はほとんど入らなくなった。1―3月期は9―10月までに比べると半減しそう」な情勢だ。ただ、「数量をカットされた場合は、価格条件は横ばいを求めたい」(関東地区の問屋)と、価格は据え置きとなる見込み。
また、複数の黄銅棒メーカーが、1―3月期の長期契約の購入価格条件の切り下げを提示した。主要原料である黄銅削り粉は、トン3000円程度引き下げられる。「すでに12月後半から条件を下げたメーカーもある」(関東の直納問屋)と、製品需要の低迷を受け、メーカーは原料のコストカットを進めている。
秋以降に他メーカーの需要が弱含む中でも、購入意欲が堅調だった大手棒メーカーも、価格条件を引き下げる見込みだ。全体の購入数量も削減するとみられ、ある大手直納問屋は、「価格を下げられたので長契数量は維持してもらうが、1―3月はスポットは買わないと通達された」と話す。各メーカーとも、長期契約分で原料を確保しつつ、スポットの購入量は極力抑える見通しだ。
市中では、黄銅削り粉など黄銅原料が荷余りを起こしており、市中価格の伸び悩みが著しい。