自動車エンジンの解体を手掛ける斎藤エンジン(本社=千葉県八千代市上高野1976、斎藤明社長)は、ハイブリッド自動車用モーターに使用されている希土類(レアアース)磁石の回収技術を開発した。希土類リサイクルの課題の一つとなっている、モーターと磁石を効率的に分離する技術を考案した。
同社は2年前にハイブリッド自動車用モーター解体の際に磁石を分離、回収する方法の開発に着手。モーターに含まれる磁石は全重量の約7・8%で、これまで約15トンのモーターを解体し、1トン以上の磁石を回収した。
希土類磁石の主成分は鉄、ネオジム、ボロンだが、熱に弱い磁石の耐熱性を高めるために、ジスプロシウムも添加する。ただ、磁力が強いことに加え、安全性への配慮からも強力な接着剤で接合されているため、磁石をモーターから分離することは難しい。試行錯誤を重ねて独自のノウハウを開発し、現在は複数メーカーの車種から、永久磁石を効率良く回収できるようになった。
希土類は産出量の95%以上が中国国内に限られ、中でもジスプロシウムは、産出の100%を中国南部の一部地域に依存している。中国政府は毎年希土類の輸出規制を強化しており、10年には一時的な禁輸措置によって供給が滞り、国内外で価格が高騰している。ハイブリッド車や電気自動車の今後の生産拡大に、希土類の安定供給体制の構築が課題となっている。
斎藤社長は、「希土類の需給がひっ迫することを予想して、2年ほど前から回収を始めた。実際にどれほどの希土類が再生利用できるのか未知数だが、今後も回収量を増やしていく」と語る。斎藤社長によると、ハイブリッド車の解体は2―3年前から少しずつ発生しはじめ、現在も増え続けているという。