レアメタル国際相場高騰
ビスマス、年初比2倍/カドミも16年ぶり高値
日刊産業新聞 07/04/17
レアメタルの国際相場が最高値を突き進んでいる。鉛の代替材として需要が増えているビスマス、ニカド電池向けのカドミウムが先週末に高値を大幅更新。ビスマスは年初比2倍で過去最高値、カドミウムは16年ぶりの高値となった。ともに供給引き締めを背景に、欧州ディーラー筋の投機買いが入っているとみられる。
現地13日の欧州非鉄金属価格によれば、ビスマス(純度99・99%)は高安値ともにポンド2・50ドル上昇し、13・50―14・00ドルと史上最高値を連続更新した。年初比約2倍の上げ幅はレアメタルの中で最も大きく、投機買いによる急騰とみられる。
鉛の副産物であるビスマスは、鉛の二次精錬によるリサイクルが進み、鉱石からの一次製錬による生産が上向かず、大幅な増産は望めない。その一方で、欧州RoHS規制で使用が制限されている鉛の代替材として、快削鋼や快削黄銅棒の添加材としての実需が本格化。一時的な増加ではないため、今後の需要も高い水準が続くとみられる。
国内の需給タイト感も増しており、供給サイドも「これ以上の注文は受け付けられない」(大手製錬メーカー)という状態。不足分は中国からの輸入に依存するしかないが、昨年から中国が輸出抑制姿勢を強めているため、まとまった量の手当ては難しい情勢だ。
カドミウム(純度99・99%)も先週末、中値ベースで17%値上がりし、ポンド当たり2・70―2・80ドルを記録。1・70―1・80ドルだった年初と比べると中値ベースで約63%高となっている。
カドミは長年の相場低迷により、欧州などで生産撤退が相次ぎ、供給元の製錬メーカーの数が減少している。一方の需要面においては、主用途のニカド電池はリチウムイオン電池へのシフトが進んでいるものの、インフラ整備が進む中国などで電動工具用の電池需要が根強い。また、夏場にかけて米国市場も上向くことから、先高を見越して買われているようだ。
現在のビスマス、カドミの相場高騰は、これら需給要因に加え、欧州のディーラー筋による買い占めが拍車をかけているとみられる。また、カドミと同じ電池向けのコバルト(純度99・8%)も、前2品種ほどではないが投機買いが入っていると考えられ、現在ポンド当たり31・00―32・50ドルの最高値を付け、年初と比べて20%以上高い水準となっている。
セレニウムも先週末、ポンド当たり22―24ドルから28―32ドルまで値上がりし、1年2カ月ぶりの水準を回復。従来用途である複写機の感光ドラムやガラス着色料などの需要は減っているが、快削棒の切削性を向上させる添加材としての実需が上向きつつあるようだ。
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