2016年5月31日
住友鉱山、「日暮別邸」新居浜に移築 グループ記念館に改装
住友金属鉱山は30日、住友グループ19社とともに、愛媛県今治市四阪島にある「日暮別邸(ひぐらしべってい)」の移築工事に着手したと発表した。同県新居浜市中心部に建物を移し、住友グループ各社の記念館として活用予定。工事期間は2018年9月までの30カ月間を見込む。
住友家15代家長が1906年に建てた木造2階建ての建築物。戦前は住友家の別邸や来客の接待に使われ、戦後は住友鉱が約70年間、私有地内で維持・管理してきた。著しい老朽化を受けて移築を決めた。工事は三井住友建設と住友林業の共同企業体が行う。費用は非公表。
建築当時、住友家は銅製錬所を現・新居浜市の海浜地区から、瀬戸内海の無人島である四阪島へ移転する大事業に取り組んでいた。四阪島製錬所の全体を見通せるようにとの家長の思いから、日暮別邸は製錬所に隣接して建てられた。建物の名称は、製錬所の設計・建設技師が日が暮れるまでそこで構想を練ったことに由来する。
当時の乾式銅製錬所は亜硫酸ガスによる煙害をまだ克服できておらず、四阪島への移転は地域対策の一環だった。技術改良の苦闘の末、1939年に根絶を実現した。移築後の記念館には金属製錬や煙害克服の歴史などを展示し、一般にも定期公開する予定。
住友鉱の銅製錬事業は70年代、臨海大型製錬所の東予工場(愛媛県西条市)に移った。現在の四阪島では住友鉱の子会社、四阪製錬所が粗酸化亜鉛を生産する。
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