2015年1月26日

日本精線、ステンレス鋼線が織り成すアート作品 本社フロア内に展示

 「素材が技術を生み、技術がイメージを喚起する。そのイメージが更なる技術を生み…」。ステンレス鋼線国内最大手、日本精線の本社(大阪市中央区)フロア内に、テキスタイル・アート作家の熊井恭子氏による同社のステンレス鋼線(細線)を素材に使用した作品2点が展示されている。

熊井恭子氏作品・日本精線1501C1 (2)  社長室横のスペースを利用して展示されているのは、作品名「せんまんなゆた」(サイズ=135×226×20センチ)。線径0・25ミリのステンレスばね線(硬質仕上げ)を使用し、縫い上げる技法で作製されている。「ステンレス線を針に通して縫うと、そのバネ力が生かされて、自由な局面を持つ立体を作り出すことができる。この発見により生まれた形もサイズもさまざまな球体を集合させた作品。物事が果てしなく続くさま、わき出ずる胆力、魂の旅をいざなう装置…であり得たならばと思う」(熊井さん)。

熊井恭子氏作品・日本精線1501C2 (2)  営業部門のフロアスペースに展示されているのは作品名「ドレープ」(サイズ=130×200×25センチ)。線径0・20ミリのステンレス細線を縦糸はばね線(硬質仕上げ)、横糸はなまし線(軟質仕上げ)を使用し、バスケット織りで作製。「ステンレス細線を手織物、特にバスケット織りを採用することでスムーズな曲面の表現が可能になった。布の魅力の一つであるドレープを表現しており、金属素材の特徴である光の反射がイリュージョンの世界を醸し出している」(同)。

 ステンレス鋼線は、ばね材やねじ材などとして主に産業分野で使用されているが、アートの分野で素材となることはまれなこと。熊井さんは東京芸大を卒業後、繊維による造形を開始し、70年代半ばからステンレス細線を使い始め、独自の観点からさまざまな形状の作品を発表。国内外で数多くの展示会に出展している。現在、長岡造形大学名誉教授。

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