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過去5年間、世界全体の伸び率を上回る増加を示したのは、30カ国の内、7カ国。中国(31・6%増)、ロシア(18・6%増)、ウクライナ(29・3%増)、インド(11・9%増)、スペイン(21・9%増)、オーストリア(13・5%増)、カザフスタン(20・5%増)――というメンバー。
ロシア、ウクライナ、カザフスタンは、もともと旧ソ連邦の重要構成国として、世界最大の鉄鋼生産国の実績があり、旧ソ連として大体1億6000万トン程度の粗鋼生産は行っていた。90年代初頭のソ連邦解体とともに、国内需要の脆弱な構造が露呈し、壊滅的打撃を受け、一時は、アジアや米国に超安値輸出を強行し、ひんしゅくを買っていた。ここへきて再び生産面で、回復基調をたどっているわけで、輸出市場でのビヘイビアを注視する必要があろう。
インドは、中国の急成長ぶりに刺激を受け、猛ダッシュをかけようとしている。インド国内には直接貢献していないが、イスパット・グループの世界的活躍も国内メーカー関係者には刺激となっている可能性がある。
スペインはかつて「鉄鋼国」というイメージはなかったが、アルベド(ルクセンブルク)・アセラリア・グループの急伸長と軌を一に伸びてきた。来月には仏ユジノールと統合し、「アルセロール」として、粗鋼生産4500万トンの最大メーカーの一翼を担う国の一つとなる。
オーストリアは、フェスト・アルピーネが元気であり、一方、ドイツが停滞しているため、間隙を縫って伸びてきているという印象だ。
次に、過去5年間、5%以上減少した国は7カ国。米国(8・5%減)、英国(25・9%減)、ポーランド(24・1%減)、豪州(21・6%減)、チェコ(7・4%減)、オランダ(9・1%減)ルーマニア(26・9%減)――いずれも鉄鋼先進国である。
米国は構造改革の立ち遅れ、英国以下各国は内需不振、輸出競争力の不足に尽きるといえよう。
このほか、堅調推移(微増横ばい)しているのは、(1)韓国(2)ブラジル(3)イタリア(4)台湾、トルコ(5)ベルギー(6)南ア(7)イラン(8)スウェーデン(9)スロバキア――というところだが、トルコ、イランの堅調はやや意外であろう。
逆に、停滞基調(微減横ばい)なのは、(1)日本(2)ドイツ(3)フランス(4)カナダ(5)メキシコ(6)アルゼンチン――の6カ国。内需低迷、輸出先の米国の規制強化、国内構造改革の対応遅れなど、共通複合要因が指摘される。
総じて、英米など鉄鋼先進国の沈滞、日独などこれに続くグループの停滞、後発・中進製鉄国の躍進が、このわずか5年間の推移から見ても読み取れるのである。
世界鉄鋼地図に地殻変動
日刊産業新聞 2002/2/21過去5年間における世界鉄鋼国別生産推移(別表)をみると、大きな地殻変動が起こっていることが分かる。中国をはじめ、後発または中進製鉄国が大きく伸びているのに対し、英国・米国など先進国が低迷、これに続く、日本・ドイツなども低迷している。 |
▼先進国低迷・中進国が躍進
IISI(国際鉄鋼協会)のデータによる世界99カ国の粗鋼生産は1997年7億9890万トンであったが、2001年には8億3970万トンへ。この間408万トン、5・1%の着実な増加を示した。5年間トップの中国から30位のスロバキアまで主要30カ国の全体に占める割合は94・1%(97年は93・9%)。トップ10カ国のシェアは5億9610万トン、71・0%(97年5億5000万トン、68・8%)で、上位国への収れん傾向がうかがえる。
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ロシア、ウクライナ、カザフスタンは、もともと旧ソ連邦の重要構成国として、世界最大の鉄鋼生産国の実績があり、旧ソ連として大体1億6000万トン程度の粗鋼生産は行っていた。90年代初頭のソ連邦解体とともに、国内需要の脆弱な構造が露呈し、壊滅的打撃を受け、一時は、アジアや米国に超安値輸出を強行し、ひんしゅくを買っていた。ここへきて再び生産面で、回復基調をたどっているわけで、輸出市場でのビヘイビアを注視する必要があろう。
インドは、中国の急成長ぶりに刺激を受け、猛ダッシュをかけようとしている。インド国内には直接貢献していないが、イスパット・グループの世界的活躍も国内メーカー関係者には刺激となっている可能性がある。
スペインはかつて「鉄鋼国」というイメージはなかったが、アルベド(ルクセンブルク)・アセラリア・グループの急伸長と軌を一に伸びてきた。来月には仏ユジノールと統合し、「アルセロール」として、粗鋼生産4500万トンの最大メーカーの一翼を担う国の一つとなる。
オーストリアは、フェスト・アルピーネが元気であり、一方、ドイツが停滞しているため、間隙を縫って伸びてきているという印象だ。
次に、過去5年間、5%以上減少した国は7カ国。米国(8・5%減)、英国(25・9%減)、ポーランド(24・1%減)、豪州(21・6%減)、チェコ(7・4%減)、オランダ(9・1%減)ルーマニア(26・9%減)――いずれも鉄鋼先進国である。
米国は構造改革の立ち遅れ、英国以下各国は内需不振、輸出競争力の不足に尽きるといえよう。
このほか、堅調推移(微増横ばい)しているのは、(1)韓国(2)ブラジル(3)イタリア(4)台湾、トルコ(5)ベルギー(6)南ア(7)イラン(8)スウェーデン(9)スロバキア――というところだが、トルコ、イランの堅調はやや意外であろう。
逆に、停滞基調(微減横ばい)なのは、(1)日本(2)ドイツ(3)フランス(4)カナダ(5)メキシコ(6)アルゼンチン――の6カ国。内需低迷、輸出先の米国の規制強化、国内構造改革の対応遅れなど、共通複合要因が指摘される。
総じて、英米など鉄鋼先進国の沈滞、日独などこれに続くグループの停滞、後発・中進製鉄国の躍進が、このわずか5年間の推移から見ても読み取れるのである。