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リサイクル90%を実現

アルミ缶リサイクル協会 新理事長に聞く

太田拓夫氏(ユニバーサル製缶社長)

日刊産業新聞 2009年08月06日
 アルミ缶リサイクル協会は、2008年度のリサイクル率が減少に転じたものの、90%クリアに向け引き続き活動を進める。一方、軽量化では1%のリデュースを2010年にクリアする見通しで、自主的な目標を着実に実現させる。新たに理事長に就任した太田拓夫・ユニバーサル製缶社長に、抱負や今後の取り組みなどを聞いた。

 ――あらためて理事長就任の抱負からお願いします。

 「アルミ缶のリサイクル率は他の容器に比べて高く、07年までの3年間は90%台を維持してきた。昨年は残念ながら87・3%と、90%に届かなかった。ただし、使用済みアルミ缶(UBC)の回収自体は量が減っていないと見ており、自動車や鉄鋼の生産が落ち込み、その部分で使用量が減り80%台になったと思う。逆に、アルミ缶に使用されるCAN TO CAN比率は66・8%へ上昇しており、悲観的な見方はしていない。アルミ缶はリサイクルの優等生として注目度が高く、社会的責任をひしひしと感じており、90%台復活をめざして引き続き積極的に取り組んでいく」

 ――自主行動計画では当初リサイクル率85%を掲げ、現在は自主的に90%へ目標値を引き上げていますが、90%台復活への具体的な活動としては。

 「従来のワーキンググループ(WG)にアルミ圧延4社とアルミ再生地金製造3社を加えた『拡大リサイクルフロー調査WG会議』を3カ月に1回定期開催している。回収・需要動向などの調査、各社の情報交換を行い、需要回復に向けて地道な活動を続けている」

 ――近年は韓国への輸出増加が取りざたされていますが。

 「現地で再生利用されているのは間違いないが、日本のリサイクル率に上乗せするわけにいかない。輸出を含めたリサイクル率は、あくまで参考値だ。通関コード上はアルミスクラップとなっており、正確な実態把握は難しい」

 ――韓国などへのUBC輸出はやむを得ないと考えるのか、やはり日本でリサイクルを完結すべきと考えたら良いのか。

 「リサイクルという観点で見れば、輸出という選択肢もあるが、缶メーカーとしては、(国内で)缶材は缶材に返してもらうのが望ましい。リサイクルは省エネにつながり、新塊と比べUBCの比率が上がればより環境にやさしくなる。リサイクル率もさることながら、CAN TO CAN率の意義が非常に大きい」

 ――3R(リデュース・リユース・リサイクル)に関し、アルミ缶リサイクル協会を含む8団体で構成される「3R推進団体連絡会」の活動状況は。

 「この会は容器包装のリサイクルにかかわる8団体が一緒になり、消費者、自治体との連携を深め、3Rを推進するための活動を行っている。事業者としては、自主行動計画の策定・実行とともに、連携に資する取り組みとして、フォーラム、セミナーの開催やACジャパン(旧公共広告機構)を通したテレビCMなどを行っている」

 ――容器包装リサイクル法は、いずれ見直しに向けた議論になると思いますが。

 「来年くらいには、審議会などを通じいろいろな議論になるだろう。前回改正時の論点整理と次回審議に向けた準備を、連絡会の中で行っている」

 ――3Rのうちリデュース目標ですが、アルミ缶の1%軽量化に向けた取り組みは。

 「缶メーカーとお客様(ビールメーカー)との間で取り組んでいる缶蓋の小口径化や薄肉化が、09年初頭から本格化しており、10年には目標をクリアできる見込みである。達成後は、さらに次のステップを考えていかないといけない」  


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