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2008年10大ニュース/軽金属
建材・箔・缶で大型提携
日刊産業新聞 08年12月19日(1)アルミ市況が急騰暴落
2008年のアルミ市況は、夏場まで高値推移したものの10月以降に暴落した。LMEアルミ相場は、供給不安から7月初旬に先物で3350ドルへ急伸、06年5月以来、2年2カ月ぶりの史上最高値を更新した。しかし、8月以降は需要減少を受けて下落し、10月に入ると世界的な金融危機の影響から急落。12月に入っても底値が見えず、足元は1500ドル前後を往来推移している。LME在庫は北米を中心に急拡大して200万トンを突破した。(2)三協・立山、日軽金と提携
三協立山ホールディングスは、日本軽金属と全面提携し、両社子会社で行う建材事業で協力関係を構築する。具体的には、相互OEM供給など、それぞれが保有する生産設備の相互活用を推進することによる製造コストの低減を実現。また、原料・部品など共同購買による調達コスト、および各社が保有する物流インフラの相互活用推進による物流コスト削減などをめざす。アルミ建材業界では、事業環境が悪化しており、提携効果が期待される。(3)古河スカイが英で資本参加
古河スカイは、ギリシアにおけるアルミ圧延企業のエルバル社完全子会社である英国圧延メーカー「ブリッジノース社」に資本参加する意向書(MOU)に調印した。同社海外アルミ板圧延事業への直接投資は、今回が初めて。これにより、欧州地域をはじめとする世界各地へアルミ印刷板供給体制を強化する。一方、韓国のアルミ圧延会社であるチョイル社とは、連続鋳造法を利用したアルミ板生産・開発でも業務提携を行った。(4)ユニ缶、大和製缶と提携
ユニバーサル製缶は、業務の効率化やコスト削減、環境負荷低減などをめざすため、大和製缶と生産体制見直しや設備を有効活用し、製造面で再編・集約化を図ることで合意した。資本提携などは行わないが、相互補完関係を構築する。具体的な協力として、缶蓋は、ユニバーサル製缶が缶蓋縮径化に関する新規設備投資を見合わせ、大和製缶と連携。一方、缶胴は大和製缶がラインを一部停止し、ユニバーサル製缶と協力し、他工場へ順次切り替える。(5)アルミ缶リサイクル率最高
アルミ缶リサイクル協会が発表した2007年度のアルミ缶リサイクル率は、92・27%と過去最高を記録した。昨年6月に改正建築基準法が施行された影響で、解体サッシの発生量が減少したため、二次合金や脱酸剤向けに使用済みアルミ缶(UBC)の引き合いが強まった。需要増加からUBCは高値取引されたため、リサイクル率は向上した。韓国へのUBC輸出量を含めるとリサイクル率は95%に達すると推測される。(6)需要、過去最高から一転減
2008年上期(1―6月期)のアルミ総需要は、わずかながらプラスを確保し、過去最高を記録。自動車向け需要や輸出などが好調で、おおむね底堅く推移した。しかし、年後半は米国のサブプライムローン問題に端を発した金融危機広がりで、景気が一気に悪化。アルミ需要も急ブレーキがかかり、一転して失速状態を余儀なくされている。自動車やIT関連などが軒並み低調。建材需要も低迷が続き、復調には時間がかかりそうだ。(7)東洋アルミ、住軽箔と提携
東洋アルミニウムは、住軽アルミ箔とアルミ電極箔事業における製造部門の業務提携で合意した。両社は、アルミ電極箔業界で国内トップクラス。この分野は将来的な需要増が期待されており、提携で一層のコストダウンなどをめざす。内容としては、「生産における相互委託」「物流共同化によるコストダウン」「外部調達品の規格共通化および共同購入」「加工拠点の共同活用」「生産技術交流」をそれぞれ進める。(8)三菱ア、日本製箔と提携
三菱アルミニウムおよび子会社のエムエーホイルは、日本製箔とアルミ箔成型品・その他日用品の開発・生産について業務提携実施で合意した。「新商品の開発と既存商品のコスト削減の共同推進」「相互OEM実施およびこれに伴う金型共用化、外注先起用の一本化、原料・副資材購入先の選択と集中検討」を行っていく。これにより両社は、業務効率の向上、生産コスト低減を図り、日用品事業の競争力強化を実現する。(9)マグネシウム相場大崩れ
マグネシウム市況は年前半を中心に騰勢を強めたが、7月以降は需要急減から大幅安となった。世界供給の8割を占める中国からのオファー価格は、生産コスト高や需要家の買いが殺到したことから、6月に6300ドルへ急伸した。しかし、夏場以降は日本や欧州からの買いが入らず、市場はノミナル化。10月になると世界的な景気減速から需要が急速に減少し、相場は下げ足を速めた。足元2800―2900ドルで推移している。(10)非鉄流通3社共同で配送
筒中金属産業、堤伸銅軽金、中山金属の非鉄流通3社は12月から関東地区の需要家を対象に製品の共同配送を開始した。併せて在庫機能も集約した。小口配送を効率的に行うことで顧客サービスの向上が図られるほか、輸送費、配送に伴う二酸化炭素(CO2)排出量も削減できるとしている。3社は今後、参加社をさらに増やして共同配送の効果を高めたい考え。将来的には共同出資による物流会社の設立もめざす。 ・ 記事は、記事データベース検索サービス(有料)でも閲覧できます → 記事検索