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2008年10大ニュース/非鉄金属
官民挙げて競争力強化
日刊産業新聞 08年12月19日(1)銅、最高値から歴史的暴落
LME銅現物(セツルメント)が原油先物の高騰などに追随してトン8985ドルの過去最高値を記録したのが7月3日。そのわずか5カ月後には約4年ぶりに3000ドルの大台を割り込むなど歴史的な暴落となった。リーマン・ブラザーズ証券の破たんなど米、欧の金融危機による世界景気の悪化が市況を直撃。12月に入ると米自動車大手の救済策が難航していることを受け売り圧力が強まり、下値不安が消えないまま推移している。(2)南部アフリカに使節派遣
政府は8月末から9月初めにかけて、政官民で構成した「アフリカ貿易・投資促進合同ミッション」を派遣した。団長は経済産業省の吉川貴盛副大臣が務め、ボツワナ、モザンビーク、マダガスカル、南アの南部アフリカ4カ国を訪問した。同ミッションは各国首脳と会談し、吉川団長は福田首相(当時)の親書を手渡した。 4カ国はリモートセンシングなどに高い関心を示した。民間企業も直接政府高官と情報交換した。(3)中小緊急融資業種に指定
資金繰りが苦しい中小企業を支援するために政府が打ち出した融資制度「原材料価格高騰対応等緊急保証制度」が10月から始まり、伸銅や電線、アルミなどの非鉄金属業も対象に指定された。指定された業種の会社は新たに8000万円までの融資を無担保で受けることができる。非鉄金属卸売業と非鉄金属スクラップ卸売業は最初の指定から漏れたが、関係者の努力の結果、今月5日に指定対象に追加されることが決まった。(4)新三菱伸銅が発足
三菱伸銅と三宝伸銅工業は4月1日付で合併し、新会社の三菱伸銅が発足した。月産量1万2400トン(4月時点)、シェア17%は国内伸銅メーカーとしては最大。親会社の三菱マテリアルにとっては鉱石から製錬・圧延加工まで、銅の一貫生産体制が整ったことになる。品質やコスト、納期などの要求が激しさを増す中、新会社は今後、効果的な設備投資や製品開発、コストダウン対策を行い、競争力の向上をめざすとみられる。(5)新日石と新日鉱が統合発表
新日本石油と新日鉱ホールディングスは12月4日に経営統合を発表した。09年10月に持ち株会社を設立した上で両社の全事業を再編し、傘下に石油精製販売、石油開発、金属の中核事業会社を置く。600億円以上の統合効果を発揮する。経営統合は国内需要の減少に直面している石油事業が中心だが、銅鉱山開発や新製錬技術、IT素材、環境リサイクル、チタン、太陽電池用ポリシリコンなどへの投資資金を拡充することもできる。(6)特備協が解散
ニッケル、クロム、タングステンなどレアメタル7鉱種の民間備蓄を目的に、高炉、特殊鋼、非鉄製錬メーカーなど組織された社団法人特殊金属備蓄協会(76年設立)は、同備蓄の在り方の変更に伴い、解散することを決め、8月に清算手続きを終えた。同協会が行ってきた備蓄業務は財団法人国際鉱物資源開発協力協会(JMEC)に移管された。同業務の移管を受けたJMECでは主に在庫保有状況や世界の需給動向などを調査する。(7)ネット7発足
非鉄金属7団体は5月、「非鉄金属ネットワーク協議会(ネット7)」を設立し、学生向けとして非鉄金属業界を紹介するホームページ「メタルワンダーアベニュー」を立ち上げた。学生の理科離れ現象を踏まえ、非鉄金属業界でも将来的な国際競争力を維持すると同時に人材の確保・育成が喫緊な課題として位置づけられた。 同協議会の設立は経産、文科両省の産学人材育成パートナーシップの一環。(8)古河電工JIS認定取消し
古河電気工業は8月12日、大阪事業所が日本工業規格(JIS)で義務付けられた試験を一部の銅管と銅板で実施していなかったため、同事業所の製品のJIS認証が取り消されたと発表した。自主調査の結果、少なくとも昨年10月から本年7月までの間、強度や導電性を調べる試験を省略していたことが分かった。同社は品質管理体制を見直すなどして再発防止に努めるとともに、JIS認証の最短での再取得をめざして準備を進めている。(9)電線、環境・超電導開発進む
電線業界では環境関連の技術開発や実証試験が進んだ。日本電線工業会と電線総合技術センターは、建設用電線の導体サイズアップ(太径化)によるCO2排出量削減を提唱、電線メーカーの工場で実証試験を行った。銅電線に比べて大電流を流せる高温超電導線の技術開発も、NEDOのプロジェクトの枠組みに沿って進んだ。フジクラや昭和電線ケーブルシステムがイットリウム系超電導線材の低コスト化に成功し、実用化に近づけた。(10)周年行事が相次いで開催
地域[東京]分野[非鉄]種別[11面]担当[大井]元記事[H1T08-12-19FO21217] 非鉄4団体・1研究機関の周年行事が相次いだ。非鉄金属リサイクル全国連合会50周年(5月に記念行事)、日本電線工業会と日本伸銅協会60周年(6月に記念事業)、日本鉱業協会60周年(10月に記念誌発刊)、日本メタル経済研究所20周年(10月に国際シンポジウム開催)。 これら製錬、電線、伸銅、リサイクル、研究機関は国際非鉄金属相場が過去最高水準で推移していた時期に10年スパンの節目を迎えた。 ・ 記事は、記事データベース検索サービス(有料)でも閲覧できます → 記事検索