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中国の内需拡大に伴う品不足や生産コスト上昇が値上げ要因とされているが、売り手の立場が強くなっているのも事実だ。同様に金属ケイ素やシリコンなどの副資材も高騰した1年だった。
アマゾンアルミに加え、インドネシアのアサハンアルミも事業は底堅く推移。これらナショナルプロジェクトは、ここにきて順調な業況を見せる。
三協立山ホールディングスでは、マテリアル事業を分社化し、「三協マテリアル」が発足。今後は、非建材事業のさらなる拡大を図っていく。
アルミ箔業界では、昭和電工が一般箔ビジネスから撤退するなど、事業再構築の取り組みを推進。箔メーカーにおける各社の選択と集中が加速している。
不二ライトメタルでは、グループに対する形材供給にとどまらず、精密加工品やその他加工品の扱い増をめざす。具体的には、建設関係の市場環境が悪化するなか、半導体・液晶や複写機・OA機器、自動車などの販売に加え、マグネシウムの市場開拓もめざす。
2007年10大ニュース/軽金属
世界的な再編進む/アルミ市況高値推移 法改正で建材需要減
日刊産業新聞 2007/12/21
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(1)アルミ市況が高値推移
2007年のアルミ相場は、年前半を中心に総じて高値圏で推移。このため、軽圧や箔メーカーなどでは、これら原材料上昇分の転嫁に注力した。ロンドン金属取引所(LME)のアルミ相場は、年初に現物で2900ドル台を付け、バックワーデーションが拡大するなど、相場は強含み推移。国内価格でも、一時キロ400円水準まで高騰した。ただし、米サブプライムローン問題を契機に、市況は足元沈静化しつつある。(2)リオ・ティントがアルキャン買収
英豪系の資源メジャーであるリオ・ティントは、カナダのアルミ大手アルキャン社を買収し、新たにリオ・ティントアルキャンを発足させる。買収総額は4兆円を上回る規模に達し、巨大アルミメーカーが誕生する。アルキャンをめぐっては、アルコア社が敵対的買収を仕掛けていたが、最終的にリオ・ティントの提案を受け入れた。一方、インドのヒンダルコは世界的な圧延大手のノベリスを買収し、川上に加え川中・川下でもグローバルな業界再編が進む。(3)国内4社が中国マグネ合弁
神戸製鋼所と古河スカイ、住友軽金属工業、アルコニックスの4社は、中国マグネシウム大手生産者である太原易威マグネ業有限公司と、中国山西省太原市にマグネシウム地金製造を行う合弁会社「太原金威マグネ業有限公司」を設立した。来年3月稼働開始予定で、年間生産能力は6000トン。中国産マグネシウムの急騰傾向を受け、コスト面で大きな課題となっており、安定調達の面で大きな一歩を踏み出す取り組みとして注目される。(4)マグネ国際価格が急騰
マグネシウムの国際価格は急騰した。世界供給量の8割を占める中国からのオファー価格は、2007年第4四半期(10―12月)でトン3000―3100ドルまで急伸し、第1四半期(1―3月)から約1000ドル、50%もアップした。中国の内需拡大に伴う品不足や生産コスト上昇が値上げ要因とされているが、売り手の立場が強くなっているのも事実だ。同様に金属ケイ素やシリコンなどの副資材も高騰した1年だった。
(5)日本アマゾンが初配当
日本アマゾンアルミニウムは、投資先であるブラジルのアルミ製錬事業が好調なことから、これまでの累積損失を解消し、初めて配当を行った。現地の事業会社であるアルブラス、アルノルテ社とも業績は堅調。同社設立後30年を経て、利益を安定的に確保できる体制が整った。アマゾンアルミに加え、インドネシアのアサハンアルミも事業は底堅く推移。これらナショナルプロジェクトは、ここにきて順調な業況を見せる。
(6)三協立山がマグネ提携
三協立山アルミは、不二越とマグネシウム事業で提携した。自動車部品向けなどで需要開拓に注力し、3年後に両社合わせて売上高100億円規模に育成。マグネは現在、主流だったダイカスト製法からより高品位な薄板プレス加工への切り替えが進み、ITや産業機械分野などで適用をめざす。三協立山ホールディングスでは、マテリアル事業を分社化し、「三協マテリアル」が発足。今後は、非建材事業のさらなる拡大を図っていく。
(7)日軽金が箔事業再編
日本軽金属は、東海アルミ箔を完全子会社化させ、日軽金が保有する東海全株式を東洋アルミニウムに譲渡した。こうした一連の施策で、日軽金グループの箔事業再編が完了。これにより箔事業の効率化を進めるとともに、一層の競争力強化を図る。アルミ箔業界では、昭和電工が一般箔ビジネスから撤退するなど、事業再構築の取り組みを推進。箔メーカーにおける各社の選択と集中が加速している。
(8)法改正で建材需要に変調
本年6月の改正建築基準法施行を受け、アルミ建材需要が変調を来している。アルミ総需要ベースでは、好調な自動車向けを中心に、ダイカスト製品などがけん引役を果たし底堅く推移。缶材も一定の数量を保ち、全体では前年並みの状態だ。こうした中、サッシや内外装材などの落ち込みが目立つ。将来的には、着工が進むとともに需要も回復するとみられるが、短期的にはしばらくこの状態が続くものと予想される。(9)「不二ライトメタル」発足
不二サッシは、アルミ形材外販事業の組織再編を行い、新たに「不二ライトメタル」を立ち上げた。不二サッシ資材事業部と九州不二サッシを統合させ、非建材の取り組みを強化する。不二ライトメタルでは、グループに対する形材供給にとどまらず、精密加工品やその他加工品の扱い増をめざす。具体的には、建設関係の市場環境が悪化するなか、半導体・液晶や複写機・OA機器、自動車などの販売に加え、マグネシウムの市場開拓もめざす。