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2006年10大ニュース/非鉄金属

銅建値が100万円大台/相場高騰 業績にも

日刊産業新聞 2006/12/22

(1) 産銅建値が史上初100万円
(2) 非鉄メジャー寡占化が加速
(3) 銅鉱石買鉱交渉で対立激化
(4) 国内製錬各社最高益の決算
(5) 紀長伸銅が廃業キッツが引継ぐ
(6) 4年連続で伸銅品生産100万トン超
(7) 電線販価の値上げ相次ぐ
(8) 伸銅品加工賃値上げ相次ぐ
(9) 製錬各社のグループ内統合進む
(10) 光通信関連が大幅営業増益

 (1)産銅建値が史上初100万円

銅建値は年初のトン58万円スタートからわずか4カ月間で70%以上の急騰となり、5月18日には史上初めてトン100万円の大台に到達した。LMEの現物相場が供給懸念を背景とする投機買いで年初比90%強上昇して一時8788ドルの過去最高値をつけたためだ。現在も80万円近辺の高値圏。また亜鉛建値は11月下旬に58万1000円の最高値をつけているほか、海外ニッケル相場も3万5000ドル以上に急騰、足元も非鉄金属の騰勢は衰えを見せていない。

 (2)非鉄メジャー寡占化が加速

  2006年の非鉄資源産業は大型買収が相次いだ。05年夏から続いたファルコンブリッジとインコを標的とする買収合戦は、エクストラータがファルコンを、リオドセがインコを買収することで決着した。買収額はそれぞれ2兆円弱。11月にはフリーポート・マクモラン・カッパー・アンド・ゴールドがフェルプス・ドッジを3兆円で買収すると発表した。これにより銅資源はコデルコ、BHPビリトン、新フリーポートの3社が30%を占めることになる。

 (3)銅鉱石買鉱交渉で対立激化

  国内銅製錬会社と海外鉱山の対立が激しくなった。BHPビリトンは、製錬側に対して06年7月―07年6月積みの年央交渉から、銅価が基準価格を超えて上昇した際の利益を鉱山9割、製錬1割で配分するプライスパーティシペーション(PP)条項の廃止を通達した。年央条件は基準銅価とPPの上限設置で妥協したものの、現在行われている07―08年積みの年末交渉でも、BHPはPP廃止を要求しており、製錬側は激しく抵抗している。

 (4)国内製錬各社最高益の決算

  国内非鉄製錬各社の決算は過去最高益が相次いだ。06年3月期決算は非鉄価格の高騰を受け8社中7社が過去最高益を記録した。07年3月期は下期の市況下落を織り込み当初は3社減益予想だったが、年末にかけても市況が高止まりしていることから、9月中間期までに全社が業績予想を上方修正した。さらに市況高騰による経常段階での増益効果は1000億円規模になるなど、引き続き市況高騰が非鉄製錬業のけん引役となっている。

 (5)紀長伸銅が廃業キッツが引継ぐ

  黄銅棒メーカーの紀長伸銅所は3月末で自主廃業し(生産は6月末まで継続)、キッツグループが製造業務を引き継いだ。キッツは昨年も京都ブラスを統合しており、月産5500トンの巨大グループが誕生した。紀長は極細棒と鍛造品の生産を得意とする老舗だったが、需要低迷などで業績が伸び悩んでいた。一方、キッツはフルラインメーカーとしてのブランド力が獲得できるなどのメリットが期待できるため譲受したと見られる。ただ、極細棒の供給がタイトになり納期が長期化するなどの影響も生じた。

 (6)4年連続で伸銅品生産100万トン超

  日本伸銅協会は9月、2006年度の伸銅品需要見通しを104万1000トンに上方修正すると発表した。達成すれば4年連続で100万トンを上回ることになる。需要が伸び悩んだ05年に対し、06年は一転して好調だったためだ。デジタル製品の在庫調整の底打ちを機に始まった回復は、春以降になると景気拡大の影響もあって力強さを増し、大きな落ち込みのないまま現在に至っている。伸銅品の生産は1月から10カ月連続で前年同月比増となり、10月の銅条生産量は過去最高を更新した。

 (7)電線販価の値上げ相次ぐ

  電線メーカーは04年、05年に引き続き、06年も電線売価の改善に注力した。工事用電線は大手メーカー主導で販売マージンの改善が着実に進んだ。事業収益の水面浮上に向けて、もう一段の値上げに臨む構え。機器用電線はこれまで売価改善が大幅に遅れてきたが、導体材料の銅が一時トン100万円まで跳ね上がったのを契機に、ユーザー側の値上げ受け入れが加速した。銅価スライド制導入を承諾するユーザーも一部ながらあった。

 (8)伸銅品加工賃値上げ相次ぐ

  伸銅メーカーは4月以降、相次いで伸銅品のロールマージンを値上げした。黄銅棒メーカー各社は4月と9月の2回に渡り、合計でキロ20円程度値上げ。日立電線は銅条を30―50円、古河電工は銅板条を30円引き上げた。また、住友軽金属や古河電工、コベルコマテリアル銅管は定価制だった建築用銅管を地金スライド制に変更した。原材料価格の高止まりによる製造ロス分の費用の上昇、運送費や燃料費の増加などが理由。運転資金の増加で借入金が増え、負担が重くなっていることを挙げるメーカーもあった。

 (9)製錬各社のグループ内統合進む

  新日鉱ホールディングスは日鉱金属、日鉱マテリアルズ、日鉱金属加工の金属系3社を4月に統合。石油、金属の両輪経営体制を整えた。さらに銅製錬機能は三井金属との共同出資会社パンパシフィック・カッパーに統合、チリのレガリート銅鉱山の開発にも乗り出した。同和鉱業も製錬、電子材料、金属加工、環境リサイクル、熱処理という5つの中核事業会社を傘下に持つ「DOWAホールディングス」として、新しいスタートを切った。

 (10)光通信関連が大幅営業増益

  06年は光通信関連製品の需要回復が鮮明だった。日本電線工業会のまとめによると、光ファイバーケーブルの4―9月国内出荷量は、前年同期比約30%増で、06年度通期では同9・3%増の1102万5000キロメートルコアが見込まれる。家庭向け光ファイバー網(FTTH)の加入者数増加に伴って、関連製品の需要が好調に推移。住友電工、古河電工、フジクラの上位3社では06年9月中間期、当該事業セグメントが大幅な営業増益となった。