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2005年軽金属業界10大ニュース

日刊産業新聞 2005/12/27

(1) 古河スカイ上場
(2) アルミ市況が高騰
(3) ユニバーサル製缶発足
(4) 住軽金が押出販社設立
(5) 日軽金が東海箔を子会社化
(6) 三協ア・立山ア合併へ
(7) アルミ缶リサイクル率が過去最高
(8) トステムが希望退職募集
(9) 軽圧品流通の再編進む
(10) 箔メーカーに排除勧告

(1)古河スカイ上場

 古河電工の軽金属事業部門と、スカイアルミニウムが統合して誕生した古河スカイが発足後約2年を経て12月2日、東京証券取引所第一部に株式上場を果たした。大手軽圧メーカー6社中、上場は5番目。今後は、シナジー効果の最大化を図り、最適な生産態勢の構築などで収益性向上を実現させる方針だ。なお、同社の株価は現在、売出・公募価格を上回り、同業他社の水準より高値で取引されており、市場からの期待も高い。

(2)アルミ市況が高騰

 本年前半は、1800―2000ドル前後のレンジ内で、比較的安定した推移を保った。その後はLME銅の高騰などにけん引され、7月前半から上値を試し続ける展開となった。12月に入ってからは2200ドル台半ばから後半での取引が続いている。これを受け、軽圧品の地金価格も高騰。年初頭にキロ240円だった地金価格は、来年1月から同280円に跳ね上がる。さらに一部メーカーは圧延品のロールマージン値戻しも予定しており、年明け以降の先高観が強まっている。

(3)ユニバーサル製缶発足

  三菱マテリアルのアルミ事業と北海製缶のアルミ缶事業を統合し、ユニバーサル製缶が10月1日に誕生した。これにより新会社は、売上高約670億円、シェアおよそ27%の規模に達し、日本ナショナル製缶を含む東洋製缶グループ、および大和製缶と匹敵するアルミ缶3強時代が到来。飲料容器事業は、アルミ缶をはじめ、ペットボトルやスチール缶など、他容器との競合も激化していることから、成長が見込まれるアルミボトル缶に注力していく。

(4)住軽金が押出販社設立

  住友軽金属工業は、同社の一部および日本アルミの大部分、群馬アルミニウムの押出品すべての販売事業を統合し、「新泉アルミニウム」を設立した。住軽金100%出資子会社で、7月から営業を開始。住友軽金属グループでは、3社4事業所で押出事業を展開しているが、現在推進中の新中期経営計画で「グループ経営資源の有効活用による競争力強化」を掲げており、今回の施策もその一環。今後は、さらに押出事業の競争力強化に向けた取り組みを図っていく。

(5)日軽金が東海箔を子会社化

  日本軽金属は、東海アルミ箔の第3者割当増資を引き受け、同社を子会社化した。債務超過の東海アルミ箔の経営支援を行い、同社の新再建計画に基づき経営の建て直しを進める。これにより東海箔では、横浜銀行への債権放棄や金利減免、無償減資など、財務面での抜本的な改革に着手。一方、日軽金では、グループの東洋アルミニウムとの連携を図り、箔事業の強化を今後進めていく。

(6)三協ア・立山ア合併へ

  三協・立山ホールディングス(STHD)は来年6月1日、事業会社の三協アルミニウム工業と立山アルミニウム工業を合併させることを決めた。STHDは、経営統合を実現後、生産面でも一体化した「STプロダクツ」を昨年6月に発足。今回の販売部門統合は、それに続くもの。同社ではこれに合わせ、商業施設事業会社を立ち上げるとともに、2007年6月に、マテリアル事業会社も設立し、グループ再編を完了させる方針だ。

(7)アルミ缶リサイクル率が過去最高

 アルミ缶リサイクル率は、2004年度に当初目標より2年前倒しで85%を突破し、86・1%を記録した。これは、95年度の65・7%から、約10年で20ポイントもの伸びを示したことになる。自動車・鉄鋼などアルミに関連する業界が好調で、再生地金需要は旺盛だったことが、全体の数字を押し上げた。再生利用事業者リストの補足率を高めたこともプラスに寄与した。なお、本年は、容器包装リサイクル法に関する見直し審議が展開され、有価物であるアルミ缶の存在感は高まっている。

(8)トステムが希望退職募集

トステムは、創業以来初となる希望退職者募集を行った。募集人数は600人と、同社全体から見ると小さい比率だが、拡大路線を続け、「常勝トステム」の印象が強かっただけに、同社が大きな曲がり角に来ていることを表す象徴的な出来事だ。11月1日には、トップ交代で55歳という西村伸一郎氏が社長に就任。創業者の潮田健次郎氏会長復帰もあったが、若い力でビル建材の低迷などの厳しい環境における新社長の手腕に期待がかかる。

(9)軽圧品流通の再編進む

昨年に引き続き、本年も軽圧品流通の再編が進んだ。メーカーや大手商社の主導による、系列流通同士の再編だったのが特徴。3月、株主移動によって佐渡島金属が三井物産非鉄販売の完全子会社になったのに続き、4月には住金物産の子会社である丸二産業と住物アルミが合併した。また、昭和電工は100%子会社の昭和電工アルミ販売に昭和アルミビューテックの事業を一部移管すると発表。東日本地区のアルミニウム圧延板の営業機能集約も図った。

(10)箔メーカーに排除勧告

  公正取引委員会は、東洋アルミニウムなど大手アルミ箔メーカー7社に対し、価格カルテルの疑いで立ち入り調査を実施し、その後排除勧告を行い、全社が応諾することにした。指摘を受けたのは、プレーン箔とPTP用の加工箔。今後は、課徴金の制裁などが決まる見通しだが、アルミ箔業界再編の可能性も取り沙汰される。なお、本年は、昭和軽合金での排水処理に関する数値の書き換え問題など、コンプライアンスの重要性が問われる場面も多かった。