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こうした構図の中で国際アルミ市況は、LMEセツルメントで年末に95年2月以来の高値トン当たり1900ドルの大台を突破した。
また、世界需給タイト化、日本での自動車向け需要伸長を映して対日プレミアムも第4四半期に過去最高水準となる90ドル台に乗せた。
世界レベルで群を抜いた規模の圧延企業が誕生することで、日本のアルミ産業にどういう影響が出るかが、今後注目される。
一方、この3社は、シャノンを入れた4社で、樹脂サッシの共同出資会社「PSJ」を設立。これまでほぼ未開拓だったビル用の樹脂サッシ市場で、販売拡大を進める。
一方、九州不二サッシは、中国のアルミ押出形材メーカーと技術供与契約を締結。不二サッシでは、今回の技術供与によって、競争力のある生産工場を実現し、海外調達の布石にしたいとの方針だ。
なお、三菱アルミニウムでは、子会社・関係会社の再編などを今後も進め、グループ全体の総合力を高めていく。
2004年軽金属業界10大ニュース
日刊産業新聞 2004/12/28
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(1)値戻し進展で収益好転
これまで陥没気味に推移していた軽圧メーカー各社のロールマージンの是正が、大きく進展した。店売り品にとどまらず、缶材など大口ひも付き品も、値上げを実現。これら値戻しの取り組みなどが奏功し、メーカー側の収益は好転。こうした状況から、復配、増配に踏み切る会社も出てきている。今後は、低収益下で抑制してきた設備投資を進め、老朽化傾向にある設備の更新などを図っていく考えだ。(2)中国進出相次ぐ
メーカー、流通問わず、中国進出が加速している。今年は、日本軽金属が深センで華日軽金(深セン)有限公司を立ち上げる一方、三菱アルミが蘇州、昭和電工は大連で自動車向け熱交換器事業の展開を発表。また、豊田通商が再生塊で合弁事業立ち上げを発表する一方、YKKAPが蘇州で建材部品工場を稼働させ、立山アルミも店舗用什器生産を来月から上海で開始。他業界同様、アルミ業界でも中国展開の勢いは止まっていない。(3)アルミ需要好調
2004年のアルミ需要は、総じて好調に推移した。猛暑により缶材が高水準だったことに加え、自動車のアルミ化が進展していることで、自動車向けは堅調推移。また、LNG船や液晶・半導体製造装置向けの厚板は、特にひっ迫感が強く、モノ不足から納期が大幅にずれ込む事態に直面した。これにより、今年のアルミ総需要は400万トン台に達し、過去最高を記録するものと見込まれる。また、来年の需要も、底堅さは当面続きそうだ。(4)アルミ新地金市況・プレミアム急騰
需要は北米で堅調維持すると同時に、中国でも拡大した一方、中国のアルミナや電力事情による製錬能力増加が減速、世界需給は2003年の余剰から不足に転じた。こうした構図の中で国際アルミ市況は、LMEセツルメントで年末に95年2月以来の高値トン当たり1900ドルの大台を突破した。
また、世界需給タイト化、日本での自動車向け需要伸長を映して対日プレミアムも第4四半期に過去最高水準となる90ドル台に乗せた。
(5)アルキャン再編
カナダのアルキャン社は、アルミ圧延事業を分社化し、世界最大クラスの新会社を設立。主な工場は、北米、南米、欧州、それにアジアと、グローバルな展開で今後の事業展開を図る。これにより、アルキャンはボーキサイト・アルミナ、アルミ製錬といった上流部分中心の会社に移行し、より高い収益性を確保するものと見られる。世界レベルで群を抜いた規模の圧延企業が誕生することで、日本のアルミ産業にどういう影響が出るかが、今後注目される。
(6)ベナルム紛争決着
CVGベナルム社は、6月開催の株主総会で、定款変更などを議決。これに対し、昭和電工は日本側株主6社を代表し、定款変更が手続きに反しているとし、総会無効の確認を求め、現地で訴訟を起こした。一審では日本側の主張を認めず、控訴していたが、最終的に訴えを取り下げることで最終決着した。10月に現地で日本側株主とCVG総裁ラファエル・サンチェス氏と意見交換し、その後調整を図った結果、信頼関係再構築を図ることなどが得策と判断した。(7)三協・立山・新日軽が仕様共通化
三協アルミニウム工業と立山アルミニウム工業、新日軽の3社は、住宅サッシの基本仕様共通化を決めた。商品の発売は来春を予定。3社は今回のアライアンスで、開発経費の削減などを図っていく。一方、この3社は、シャノンを入れた4社で、樹脂サッシの共同出資会社「PSJ」を設立。これまでほぼ未開拓だったビル用の樹脂サッシ市場で、販売拡大を進める。
(8)不二サッシ、九州不二を完全子会社化
不二サッシは、10月1日付で九州不二サッシを完全子会社化した。建設投資全体が横ばい、あるいは縮小傾向で推移することを見据え、グループ全体の最適化と効率化を図るため、完全子会社に移行することを決めた。一方、九州不二サッシは、中国のアルミ押出形材メーカーと技術供与契約を締結。不二サッシでは、今回の技術供与によって、競争力のある生産工場を実現し、海外調達の布石にしたいとの方針だ。
(9)各社の社長交代進む
今年は、軽圧、サッシ、二次合金メーカーなどで、社長交代が相次いだ。軽圧メーカーでは、住友軽金属工業桝田和彦氏、三菱アルミニウム野副明邑氏、神戸製鋼所犬伏氏がそれぞれ就任。また、神鋼はアルミ・銅カンパニープレジデントに中山裕之氏が就き、昭和電工は高橋恭平氏の社長就任を内定。同社アルミニウム事業部門は、佐藤龍雄氏となっている。また、サミットアルミは青柳勝氏が就任する一方、サッシでは、不二サッシが嵯峨明氏など、各業界で社長交代が相次いだ1年となった。(10)三菱アルミ、押出子会社再編
三菱アルミニウムは、押出子会社である立花金属工業と菱和金属工業を合併させ、効率化と体質強化を推進した。立花金属は関西、菱和金属は関東向けというすみ分けがあり、一緒になることで両社はシナジー効果と競争力強化を図っていく。なお、三菱アルミニウムでは、子会社・関係会社の再編などを今後も進め、グループ全体の総合力を高めていく。