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2003年軽金属業界の10大ニュース

日刊産業新聞 2003/12/25

(1) 神鋼、アルコアと提携見直し
(2) アルミ需要好調
(3) 古河スカイが発足
(4) 三協アルミと立山アルミが経営統合
(5) 東西で軽圧品問屋が合併
(6) 日軽金、アルキャンと資本関係解消
(7) YKKAP、YKKと建材事業一体化
(8) 昭和アルミ缶、ボトル型アルミ缶製造事業に参入
(9) 白銅、上海に現地法人設立
(10) 神鋼アルミナ事業撤退へ


(1)神鋼、アルコアと提携見直し

 神戸製鋼は、懸案だったアルコアとの提携関係を見直した。これにより、アルコアとの関係は、自動車用アルミ材事業に集中。一方、アルミ缶材事業は市場が成熟化し相対的に収益性も高くないため、アルコアにとってメリットが薄まっていた。逆に、神鋼はボトル缶向けの供給など、基盤事業として缶材に注力する。さらに、割高感が指摘されていたアルミ地金供給契約を一定期間後に解消し、神鋼はフリーハンドの立場を確保した。

(2)アルミ需要好調

 昨年はIT需要が急回復し、2年前の大きな落ち込みをやや取り戻した格好だったが、今年は冷夏による缶材不振を除くと、総じて需要が高水準。特に、LNG船や半導体、液晶関連の厚板は、需給がひっ迫し納期遅れも出ている。さらに、自動車向けは1台当たりのアルミ使用量が伸び、排ガス規制強化でトラック需要の急増などもあって底堅い展開。今後は、収益性向上のための値戻し実現がカギになる。

(3)古河スカイが発足

 古河電工とスカイアルミが製造部門も一体化し、「古河スカイ」を10月1日に発足させた。販売部門は、「ユニファスアルミニウム」としてすでに立ち上げているが、生産に関しても統合。さらに、古河電工とスカイアルミニウムは子会社でコイルセンターの「アルミセンター21」「古河アルミコイルセンター」「ヤマト軽金属」の3社を一緒にして「ACE21」をスタートさせ、小ロットのアルミ加工分野も一体化した。

(4)三協アルミと立山アルミが経営統合

 三協アルミと立山アルミが今月1日に経営統合し、三協・立山ホールディングスを発足させた。両社はこれまで、製造部門を一体化してシナジー効果を上げる予定だったが、これら効果を早急に創出するため、経営を統合した上で共同生産会社を立ち上げ、競争力向上を図る。同じ富山県高岡市に本拠地を構える兄弟会社で、合従連衡はむしろ自然な流れ。サッシ業界での再編の動きが加速しそうだ。

(5)東西で軽圧品問屋が合併

 5月、昭和電工の販売代理店である高砂金属と大伸金属が合併し、高砂金属を存続会社とした新会社「昭和電工アルミ販売」(本社=大阪市、資本金約2億5000万円)が発足した。一方、10月には住友軽金属工業の販売代理店である大金商事と大庭アルミニウムが合併し、新会社「泉メタル」(本社=東京都墨田区、資本金約1億円)が発足。双方の合併劇では新会社の年間売上高が100億円規模であること、メーカー主導による合併であることなど類似点が多かった。

(6)日軽金、アルキャンと資本関係解消

 日本軽金属は、1953年にアルキャンから50%の出資を受けて以来、アルキャングループの一員として事業展開を進めてきたが、資本関係を解消し、9月末で東南アジア、中国地区の合弁アルミ事業を再編成した。日軽金への出資は、アルキャン・ニッケイ・アジア・ホールディングスが、直近で3・6%あり、これを解消。同社は第二次大戦後のアルミ事業再開にともない、アルキャンと提携関係を結んで半世紀経ち、今後はより独自の立場で事業を行う。

(7)YKKAP、YKKと建材事業一体化

 YKKAPは、YKKの建材製造事業本部と統合し、10月1日に新たな建材事業の体制を発足させた。YKKAPとYKKはこれまで、「あたかも一つの会社のごとく」といった体制を敷いてきたが、今回の一体化で、統合効果を創出させ、競争力の向上を図っていく。同社はこれら製造・販売の一体化推進により、コスト低減などの効率化を追求する一方、アライアンスを通じたリモデル事業拡充などにも注力する。

(8)昭和アルミ缶、ボトル型アルミ缶製造事業に参入

 昭和電工の子会社、昭和アルミニウム缶は8月、需要が急増するアルミボトル缶の製造事業への参画を表明した。事業化に向けては、現有のアルミ缶製造技術が活用できることにも着目、同社は優位なコスト競争力を確立できると判断した。
 同社の参画でボトル型アルミ缶の製造メーカーは三菱マテリアル、大和製罐など全4社態勢になる。メーカー各社の販売競争は激化しそうだ。

(9)白銅、上海に現地法人設立

 5月、大手製品流通の白銅(北村文夫社長)が中国に現地法人「上海白銅精密材料有限公司」(100%出資)を設立した。現地に進出した日系企業に向けて非鉄金属やプラスチックなどの切断販売、クイックデリバリーを展開するのがねらい。同社では今後の中国戦略、ならびに世界に向けた重要拠点として位置付けている。当初は9月に操業を開始する予定だったが、春先に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)の影響で11月1日に開所となった。

(10)神鋼アルミナ事業撤退へ

 神戸製鋼所は豪州ワースレ―アルミナプロジェクトから完全撤退した。同プロジェクトへの出資会社KAA(コウベアルミナアソシエイツ)の保有株式を共同出資会社の伊藤忠商事、日商岩井に均等に売却した。
 神鋼は経営資源をコア事業の圧延事業に手中させている。昨年もカナダのアルミ製錬プロジェクト、アロエッテの保有株式を売却。神鋼出資の資源開発事業はベネズエラのべナルム、ブラジルのアルブラスのアルミ製錬事業のみとなった。