大型回転炉で溶解効率向上 アルミ鉱滓廃棄削減・活用
林商店グループのアルファメタルは、アルミドロスのリサイクルに特化した専業メーカーだ。アルミベースメタルを生産するとともに、アルミドロスの加工処理後に残るアルミ鉱滓(残灰)を適正にリサイクルするなど、アルミの資源循環工程で大きな役割を果たしている。
同社は2006年に設立し、19年3月に林商店グループに参入した。現在ではグループの工場機能を担い、アルミ二次合金の原料となるアルミベースメタルを月間1000トン以上生産している。また、残灰にリサイクル加工を施した製品を鉄鋼向け副資材などとして販売している。
同社は林商店グループに参入以後、工場全体の設備改善を進めており、直近のベースメタルの生産量はグループ参入以前と比較して大幅に拡大し、品質面でも改善した。
それに貢献したのが20年末に導入した国内最大級の急速冷却キルンだ。処理能力は時間当たり8・8トンで、600度の高温を1時間で100度まで下げられる。これによりアルミドロスの処理に要する時間を一般的なキルンと比較して3分の1に抑えられる。
23年には10トンサイズの大型回転炉も本格稼働を開始した。自働化やデジタル化などの機能も備わる最新鋭機で、溶解効率の大幅な向上が期待できる。回転炉の周囲を建屋で囲い、専用集じん機も配置し、周囲に粉じんを撒き散らさない仕様になっているなど、周辺環境への配慮を欠かさない。
アルミ鉱滓の廃棄削減や有効活用を目的に、22年から国立大学法人島根大学と連携して、共同研究を進めている。また、同大の学生育成のため資金援助やアルミリサイクルの講義の実施などさまざまな支援をボランティアで行っている。自社のためだけでなく、未来のリサイクル業界を担う、人材育成にも積極的に取り組んでいく方針だ。
本 社:名古屋市港区新茶屋4―2904
TEL 052―302―1196
FAX 052―303―2090
主要設備:10トン回転炉、急速冷却キルン、集じん機など