2024年4月12日
タイ鉄スクラップ業者/アンプラッパスチールの戦略/アンプラッパポーチャイ副社長/仕入れ先・品種拡充に注力
タイの電炉鋼の粗鋼生産量は年間600万トンとされ、原料の6割を国内発生するスクラップで賄っている。ローカルスクラップ業者のアンプラッパスチール(本社=サムットサーコーン県、アンプラッパポーチャイ・チャドヒン社長)は、工場発生するスクラップの取り扱いを強みに現地の鉄鋼生産を支えている。このほど、同社のアンプラッパポーチャイ・チャヤポーン副社長に足元の事業環境や今後の課題などを聞いた。
――まずは事業概要を。
「父(現社長)が2003年に設立し、今年で21年目になる。拠点は、本社ヤードとピントン支店(チョンブリ県)、最大の敷地を有するクロックソンブン支店(プラチンブリー県)の3拠点を展開しており、扱い量は物件数によって上下するが全社で月1万―2万トン。本社ヤード単体では7000トンある。扱い品種は鉄をメインにステンレスや非鉄全般などがあり、設立当初は鉄スクラップだけを扱っていたが徐々に品種を増やしてきた。それぞれの拠点が工業団地に隣接しており、扱い量の9割が家電メーカーや自動車メーカーなどからの工場発生品。当社のバッカンを発生工場に置き、それらを回収している。そのほか市中から解体スクラップなども購入している。売り先は国内の誘導炉メーカーや鋳造メーカーなどで国内向けが9割、輸出が1割。タイは基本的にスクラップの輸入国のため積極的に輸出できる環境になく国内を主体に販売している。スクラップのほかに2級品の鋼材も取り扱っており、300―400トンを国内で販売している」
――保有設備や品質管理について。
「本社を含む2拠点にギロチンシャーを保有しており、そのほか700馬力のシュレッダーやアリゲーターシャーなどがある。品質保証については各トラックにカメラを付け、常に本社からモニタリングし、異物混入がないよう常にチェックしている。トラックスケールのメンテナンスについても、法令では2年に1回の検査が義務付けられているが、当社は毎年検査を受け、誤差がないよう努めており、スクラップの入荷時は携帯型分析器で品種や異種金属のチェックを行い、重機を使って実際に中に何が入っているかも毎回チェックしている。認証関連ではISO9001/14001を取得し順守している」
――足元のスクラップの発生や販売状況を。
「景気低迷でおおむね全分野にわたってスクラップの発生が減っている。同業他社との集荷競争も激しく、品薄感が強い。ただ、缶詰の容器に使用されるブリキ缶の発生は堅調だ。タイミングや時期などにもよるが、基本的には需要に対して供給不足な状況にある。スクラップ販売は現社長が40年来スクラップに携わってきたこともあり国内メーカーと良好な関係を築いており1社集中ではなく幅広く取引している。2級品の輸出も手掛けているが関税もあり価格次第といったところ。既存の取引先を大事にするためにも国内により多く販売したいと考えている」
――課題や今後の展開を。
「スクラップの発生薄や集荷競争の激しさを踏まえると、新たな仕入れソースの獲得や拡大が課題だ。現状でも非鉄スクラップを取り扱っているが、経営の安定化を図るためにも品種拡充なども必要だと感じている。内需に応えるためにも、鉄、非鉄問わず入荷量の増加を図っていきたい。投資関連では、本社ヤードに新たに事務所を建設しており、年内には完成する。取引先にお披露目できる日を楽しみにしている」
【サムットサーコーン=石橋栄作】
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